2011-07-11

八幡橋

  東京海洋大学越中島キャンパスに行く用事があったので、以前から気になっていた八幡橋(旧:弾正橋)を見に行った。富岡八幡宮の東側にあって、ちょうど江東区立数矢小学校の生徒がこの橋をわたって帰宅するところだった。橋の下は川ではなく、八幡掘遊歩道になっている。
 遊歩道の南端に設置されている「町角みちしるべ」では由来を次のように説明している。
 『旧弾正橋は、明治11年(1878)東京府の依頼により工部省赤羽製作所が製作した国産第1号の鉄橋です。昭和4年(1929)現在地に移され八幡橋と改称し、以来人道橋として活躍してきました。昭和52年(1977)近代橋梁技術史上の価値の高い橋であることから、国の重要文化財に指定されました。また、アメリカ人技師スクワイヤー・ウィップルの特許を基本としたことから、平成元年10月、国内で初めてアメリカ土木学会より「栄誉賞」を受けました。』
 この橋のアーチ部は鋳鉄製で、引張材には錬鉄が使われている。鉄橋と言われるほとんどの橋は鋼(スティール)製で、この橋のように鋳鉄や錬鉄を使用したもので現存するのは明治時代前半に作られたものばかりだそうだ。鉄塔も同様で、エッフェル塔は錬鉄、東京タワーは鋼でできている。現在就航している大型船は鋼製で、日本には現役の鉄船はなく、東京海洋大学に保存されている明治丸は日本最古の鉄船である。
 エッフェル塔が完成したのが1889年、私の祖父が1884年生まれなので、祖父が生まれた頃の構造材は錬鉄が主流であったわけだ。





  銑鉄(せんてつ):鉄鉱石を溶鉱炉で溶かして取り出したもので、2~5%の炭素のほかケイ素、マンガン、リン、硫黄などの不純物を含んでいて脆く割れやすい。
  錬鉄(れんてつ):銑鉄をドロドロに溶かしたところへ石炭の燃焼ガスによって炭素を燃焼させ、炭素を除去したもので、純鉄に近い。靭性があって鍛えることもでき、構造材や鉄道のレールにも使われた。
  鋼(こう、スティール):炭素含有量を0.3~2%程度に調整した合金で、硬さと靭性のバランスに優れていて、構造材として使われている。
  鋳鉄(ちゅうてつ、キャストアイアン):銑鉄の成分を炭素を2~6%程度、ケイ素を1~3%程度に調整し、型に流しこんで製品を作る「鋳造」に用いられる。大型ディーゼル機関のシリンダーやピストン、肉厚の鋳物鍋などは鋳鉄である。

0 件のコメント: