2008-12-31

2008年大晦日

 今年も何とか無事に大晦日を迎えた。これまでにいろいろな節目はあったが,この一年は特に思い出深い年となった。いろいろな研修会やワークショップに出掛けたときに知り合った人が,それぞれ別の場面で関連のある人だったりする不思議な体験があった。
 このブログを書くきっかけとなったのは,「情報を集めたければブログを書いて情報を発信することです」という浅野先生の一言だったが,結果,いろいろな人的ネットワークが広がり始めた。
 前々から興味を持っていた「社会構成主義」というキーワードにこだわった結果,有元先生と知り合いになり,納得研究会に出入りするようになって,新たな世界が広がった。旧知の人たちとも,この研究会を通じて再会することができた。
 直感的にだが,今やろうとしている「情報デザイン」という領域は,社会構成主義や状況論と親和性がとても強いと思う。そう感じるから,両者に自分から近づいて行ったとも言える。
 新たな年の始まりをワクワクしながら迎えようとするのは久しぶりのことである。


2008年の夕暮れ


 家族サービスとしてコーヒーゼリーを作った。船乗りとして最後に乗船していた船の船長が遠洋航海中にボンド品のブランデーをドボドボ入れて作っていたことを,私は家族に幾度となく話していたらしい。コーヒーゼリーの話題になるたびに,「お父さん,ブランデーをドボドボ入れて作ってやるといって,もう20年以上になるけど・・・」と,有言不実行の非難轟々。
 それで,今回は頑張りました。粉状のゼラチンと一番安いブランデーを買って来て,コーヒーを淹れて砂糖とゼラチンを溶かし込み,ケーキの型に流し込んで・・・冷めたあと冷蔵庫に入れて一晩置くと,立派にコーヒーゼリーになっていた。
 皆が喜んで食べてくれたので,20年来の面目躍如。良い年越しとなった。


面目躍如のコーヒーゼリー

2008-12-30

神田書店街散歩

 娘と妻に付き合って神田書店街を散歩。それぞれの思い思いに古書店をぶらぶらしていたら,源喜堂という書店で Robert Capa の『時代の目撃者』を発見。10年くらい前に新聞広告で見て以来ずっと気になっていたが,6千円くらいするので買えなかった。今日は古書として3900円だったので衝動買いしてしまった。amazonで3千円くらいかとも思ったがその場合は送料もかかるし,本は出会いが大切なので・・・。この写真集には,ノルマンディ上陸作戦に同行したキャパの有名な写真や,1954年にベトナムで地雷を踏んで「戦死」する直前に撮影した写真などが収められている。アンリ=カルティエ=ブレッソンが序言を寄せているのも見逃せない。


 小腹がすいたので,「さぼうる」という喫茶店に入ってスパゲティナポリタンのセットとイタリアンのセットをとった。昭和の香りたっぷりの喫茶店で,これまたノスタルジー満点,山盛りのスパゲティにサラダとコーヒーがついて850円。


喫茶店「さぼうる」


 最近の洒落たイタ飯屋のスパゲティとはちがって,ゆでた麺と具をフライパンで炒めて調理する日本式正統派の味!イタリアでは味わえないだろう。

スパゲティナポリタン

 娘も満足の一日だった。

2008-12-28

社会文化的珈琲メイカーズ

 上大岡の「ひまわりの郷」に,娘がピアノを教わっている先生が不定期に催している音楽会へ行った。


(我が娘も出演し,イタリア古典歌曲の「たとえつれなくても」を歌った。)


 帰りにコーヒーを飲みにスターバックスに入ったとき,『デザインド・リアリティ』のpp.22-29の「社会文化的珈琲メイカーズ」の内容を思い出しながら,店員の所作をつぶさに観察した。なるほど,店員は客のオーダーを復唱しながら,紙カップにオーダーの内容をペンで書き込んでいた。
 私のオーダーはごく簡単な「スターバックスラテ」,サイズはもっとも大きな「Venti / ベンティ」で,妻と半分こ。このほうが経済的なので。
 よく見ていると,オーダーを間違えてメモしたことを気付いたときに,店員はそのカップを廃棄していた。私の次の客はカップ持参だったので,店員はオーダー内容を復唱した上で「マイタンブラー!」と付け加えていた。この場合はカップにオーダーをメモできないので,何か他のメモを使ったのだろうか?
 機会があれば,焼肉店でも店員の観察をして見たいが,こちらは一人で行ってもつまらないし,かと言って家族で入るには資金的に"ある覚悟"が必要だからなぁ・・・
 『デザインド・リアリティ』を読んで,街の景色がなんだか面白くなってきた。

2008-12-24

クリスマスのお祝い

 今年もクリスマスイブを迎えた。慌しくしているうちに年末になってしまい,年賀状もまだ書いていないので少々あせっている。

 高校生の娘はサンタクロースを信じ続けていたい割に夜更かしなので,ツリーの下にプレゼントを置くタイミングが難しい。5人家族なのに上の二人が外出しているので,3人でひっそりとアイスクリームケーキで祝った。
 もう大掃除はすませたので,後は年賀状を書いて大晦日を待つだけと行きたいところだが,宿題もあるのでもうひと頑張りしよう。

2008-12-23

デザインド・リアリティ

 横浜国立大学の有元典文先生と慶應義塾大学SFCの岡部大介先生共著の『デザインド・リアリティ』を購入して読み始めた。副題は「半径300メートルの文化心理学」となっている。




 目次だけをざっと見ると,これがなぜ心理学の本なのかと思ってしまう。著者である両先生の論文題目を見てみると次のようなのが並んでいて,とても気になっていた。
 有元先生の場合は,たとえば「焼肉屋における能力の社会的達成」,「コスプレ・コミュニティにみる社会的ネットワークの拡張としての学習」など。
 また,岡部先生の場合は「アニメ・漫画ファンにおけるメディアコンテンツ消費に関する文化横断的研究」,「中・高校生のメディア/テクノロジー消費に関する文化横断的研究」など。
 読んでみると,「現実」というものが,与えられたものとして我々の目の前に存在するのではなく,我々の世界観,問題意識,歴史認識,興味,関心・・・といったものが「現実」を構成するという社会構成主義的な視点からの,この世界の見方や見え方のヒントが提示され,ますます興味深い。詳しいことは滋賀県立大学松嶋秀明先生のホームページに書評があるのでそちらを参照。
 実は,本書の著者である岡部先生の名前を,「どこかで聞いたことのある名前だが?」と思っていた。しかし,12月20日の納得研究会で謎が解けた。この7月25日に慶應大学SFCで「メディアリテラシー研修講座」を受講したときの講師のひとりだということがわかった。岡部先生も納得研究会のメンバーであり,20日の納得研究会では大成丸でご一緒した。
 今年はこういうことが重なる年だった。8月11日に「体験!情報デザイン」ワークショップへ行ったときに初対面だった吉岡先生が,10月18日の納得研究会においでになっていた。また,数年前に社会教育学会の講演前刷りを手にいれたことがあり(講演には行かなかったが),その中に「端艇実習のエスノグラフィー」という筑波大修士課程の院生の講演アブストラクトが目に止まった。筑波大の院生がなぜ「端艇実習」を論文題目にするのだろうと思っていたら,その院生が今は博士課程に進学していて,やはり12月20日の納得研に来ていた。12月20日の納得研会場となった大成丸の熊田船長は20年以上前に青雲丸で同僚だった。すべて納得研究会でのつながりである。世の中,意外なところで意外な繋がりの上に成り立っているのか?

2008-12-20

納得研究会(第7回)

 本年最後の納得研究会は航海訓練所の練習船大成丸を会場として開催,25~26名の参加でにぎわった。
 筑波大学の茂呂研究室と大成丸の熊田船長が何か共同研究をした縁で,同船長は納得研究会のメンバーになっていたらしい。航海訓練所在職当時,私は彼と青雲丸に乗船していたことがあり,旧知の間柄なので,納得研究会で巡り合えた奇遇が嬉しかった。大成丸といえば,1981年に就航したとき新船受け取りから1年間,三席三等機関士として乗船,その数年後に次席二等機関士として1年半乗船していた懐かしい船だ。28年という船齢を感じさせないほどによく手入れが行き届き,整備されていた。船を守るという船乗りの基本を改めて感じさせられた。



練習船大成丸




初任看護師の初期業務習得過程に影響を及ぼす要因



大成丸の蒸気タービン



大成丸のブリッジ




練習船大成丸夜景

 今回の提案は2本。
(1) 新卒看護師の初期業務習得過程に影響を及ぼす要因
 新卒看護師の9%が1年未満で離職するという現状に問題点を感じた筆者が,新卒看護師の基本的な業務(検温)をビデオ撮影し,インタビューを行って,どのように「一人前の看護師として受け入れられ」てゆくか,新卒看護師自身はどのように職場に適応していると感じているかということを分析し,職場内教育や職場環境について検討することを目的とした研究。

(2) 「動機付け」とは何であったのか
 人間がある行動をする原因(なぜその行動をしたのか)を説明する「動機付け」という概念を俯瞰した発表だったが,私にはかなり難しかった。なぜ難しかったかというと,これまで断片的にしか心理学を勉強したことがなかったから。
 レジュメ後半の「失敗した授業例」を時間の関係で発表されなかったのは残念だった。特に,一番最後のスライドの「指導の場で問題になるのは本人の本当の動機付けよりも本人の動機付けについての指導者の認識(「やる気」をどう評価しているか)というところは詳しく聞きたかった。

(3) 船内見学
 大成丸船内見学は,実習生居住区,機関室,士官居住区,船長公室,ブリッジなど隅々まで案内していただいた。かつて私の職場であった機関室,蒸気タービンや教室を見て三等機関士だった頃,二等機関士だった頃を思い出した。

2008-12-06

第52回オレンジの集い

 昨日は「情報デザイン研究会」の準備のために横浜デジタルアーツ専門学校で19時~21時半まで勉強会があった。2009年1月6日に横浜清陵総合高校で実施するワークショップの打ち合わせである。「情報デザイン」という概念に接したのは7月に情報部会で開催した研修会が初めてであったが,このごろ気になり始めている「社会構成主義」とどこか通ずるところがあるように思われて,何とか授業に取り込めないかと考えている。
 その後,新横浜駅前の民民で懇親会?反省会?。帰宅が24時を超えてしまった。
 それで,今日(6日)の記事となる。
本日は午後3時半より19時半まで日比谷公会堂へ,法政大学応援団の「第52回オレンジの集い」に行ってきた。


チアリーダーの「ブリッジ」



団旗紹介



校歌



日比谷公会堂



 今春,次男の入学式で応援団の演技を見て以来,彼らを見るために六大学野球に足を運ぶようになった。
 同大の応援団は(多くの応援団がそうであるように),応援を指揮するリーダー部と,吹奏楽部,チアリーディング部の3部の連合体のようになっていて,全体が応援団ということになっているようだ。
 この日の「オレンジの集い」は,Ⅰ部吹奏楽部,Ⅱ部チアリーディング部,Ⅲ部リーダー部という構成で,神宮での応援風景とはまたちがった雰囲気を楽しむことができた。

2008-11-24

Webデザイン講習会

 情報コミュニケーション教育研究会の講習会「ちょっと体験してみる業界のWeb制作 」に参加した。納得研究会のメンバーである東京の先生から誘われていたので行ってみると,その先生と横浜清陵総合高校の先生が互いに武蔵工業大学の小池研究室を介して交流のあることがわかった(もっとも,二人はこの日初対面だったようだが)。世の中,意外なところで意外なつながりがあるものだ。というか,求めて出てゆくと,そこには求めて出てきた人がいて,「類は友を呼ぶ」ということが現実のものとなるのだろう。
 Webサイトを制作している現場の講師から,Webデザインの会社で実際に行われている実例をもとに,ソフトウェアの実習を交えながら講習が行われた。
 「イラストレータ」,「フォトショップ」「ファイヤーワークス」「ドリームウィーバー」などを使った講習だったが,講師からは「ソフトウェアをどのように使うかではなく,何を伝えたいか,情報をどう捉えるか,どのようにまとめるか,どのように伝えるか・・・が大切なので,結局は日本語力というか,表現,読解といったことがとても大切なこと」という話があり,「我が意を得たり」と納得した。
 講習には東京・神奈川の,主として情報を担当する教師がおよそ30名ほど参加し,講習の後は記憶を定着させるための懇親を新井薬師駅前で,講習と同じくらいの時間をかけて行った。

2008-11-22

納得研究会

 14時から17時半まで納得研究会の例会に出席(青山学院大学の教室で)。2名の研究進捗状況の発表があった。
発表1 (横浜国立大学で研修中の現職の先生)
 (研究1)中学時代の先生との交流について大学生に「半構造化面接法」によるインタビューを行い,生徒に対する教師のより良い働きかけについて調べる。インタビューの録音を書き起こし,テクストの切片から注目すべき語句を抽出,カテゴリー分けし,概念化する。質的分析法「SCAT」。
 (研究2)現職の教師に「半構造化面接法」によるインタビューを行い,生徒と教師の望ましい関係のつくりかたについて調べる。(研究1)と同様の手法で概念化する。

 研究1は,教師に対するフィードバックとして考えると,現場の教師には良い刺激となる。有元先生の「教育は林業のような仕事だ」という指摘に同感した。

発表2(大学院修士課程2年生)
 「発達はどこにあるのか」について,「動く赤ちゃん事典」の分析を行っている中間報告。


「動く赤ちゃん事典」のDVDでは,5ヶ月くらいの赤ちゃんに「座位の練習」をしている映像があったが,自分の子育ての経験では「おすわり」を「練習」としてやったことはないように思う。今はこうなのか?という疑問を感じたので質問したら,「練習したことないと明言できますか?忘れてたり,お母さんがしてたことをお父さんは知らなかっただけかも?」と,突っ込まれた。なるほど。
 「今は生まれたときからスタンダードの中に放り込まれる」(有元)。母子手帳に「標準」のグラフが印刷してあって,我が子の体重をプロットしたことが思い出される。
 「自律性」は我々の中にあるのか?

 『語りかける身体』西村ユミ,という本に何らかのヒントがあるらしい。

 研究会の後は今日も懇親会。2件行きました。

2008-11-20

工場実習中間見回り

 専攻科水産工学科1年生が実習でお世話になっている住友重機械マリンエンジニアリング(株)へ,実習の中間見回りに行った。

プロペラ軸を船内側から取り付ける準備


暖機を行うときにエンジンをゆっくり回転させるための歯車


メインエンジンは高さ4~5メートルはある

 本校には卒業してからさらに2年間学ぶ専攻科(漁業生産科,水産工学科,情報通信科)の課程がある。このうち,漁業生産科1年生は2回の遠洋航海を含む12ヶ月の乗船実習,水産工学科1年は1回の遠洋航海を含む9ヶ月の乗船実習と3ヶ月の工場実習が課せられている。
 専攻科水産工学科の工場実習は民間の造船工場に委託して行っており,建造中の船で機関艤装(ぎそう)を実習する。工程と実習期間のタイミングが合えば,施主に引き渡す前に行う海上公試運転に立ち会うこともある。今回は,560メートルあるドックで建造中の10万トンタンカーで実習している(このドックは50万トンの船を作ることができるということだった)。東京海洋大学海洋工学部や神戸大学海事科学部では,すでにこの工場実習を行わなくなっており,現在では本校をはじめとする水産高校の専攻科だけで実施している貴重な実習だ。
 造船所では,陸上の工場で鋼板から船体の各部分を切り出し,プレスで船体の形状に成型し,溶接して船体ブロックを作ってゆく。ある程度できるとドライドックに運んで組み立てる。こうして船体の建造を行いながら,機関やプロペラを艤装する。工場で受けた説明によると,最近では大きな船を作る造船所でも「明日必要な物は前日に準備できていれば良い」という,余分な在庫を持たない生産方式を取り入れているということだった。

2008-11-17

乗船記念日

 今日は私の機関士としての乗船記念日だ。1979年9月30日に卒業し(卒延・留年にあらず。商船大学は修業年限4年6ヶ月だったので),10月1日に当時の運輸省航海訓練所に採用された。1ヶ月半の研修と国家試験の受験があり,国家試験の合格発表もないうちに高知港からの乗船を命ぜられた。試験に不合格になることは想定されていなかったようだ。
 同時に採用された航海士とともに東京から新幹線と宇高連絡船,土讃線を乗り継いで高知港に停泊中の練習船大成丸(2455トン,主機蒸気タービン1700馬力)に乗船したのが16日20時。翌日,高知海運局で正式な乗船手続を行って船員手帳に証明を受けたので,17日が乗船記念日というわけだ。
 
 船員手帳には「三席三等機関士」と書いてあるが,国家試験の合格発表がまだなので機関士の免許を持っておらず,船内では「員外機関士」だった。つまり,機関士としての処遇を受けるけれども員数外という,ミソッカスといえばわかりやすい立場だった。無事に合格発表があって「甲種二等機関士」の免許を公布された日に遡り,正式に「三席三等機関士」となった。この免許は,今は「三級海技士(機関)」という,あまりありがたみを感じない名前に変わっている。ちなみに,現在の私の免許は「一級海技士(機関)」,昔の名前で言えば「甲種機関長」である。

 大成丸は1947年建造の小樽丸という,日本郵船の貨客船を1953年に練習船に改装した船だ。改装に当たって船体を11メートル長くした。私が乗船したときで,すでに船齢32年で,練習船隊の中でも最古参だった。この船に1年半乗船し,1981年3月,同じ名前を引き継いだ新造の大成丸5800トン(主機蒸気タービン,7000馬力)に転船した。

 「大成丸」はとても伝統のある船名で,初代は東京高等商船学校(今の東京海洋大学海洋工学部)所属の4本マストバーク式の練習帆船である。戦前に2回の世界周航を行う名船だったが,第二次世界大戦中に機雷に触れて沈没してしまった。

 船乗りでなくなった今も,毎年この日を迎えると社会人として歩み始めたときのことを思い出す。「月月火水木金金」の乗船勤務だった。

2008-11-16

関東大学ラグビーリーグ戦(群馬県前橋市)

 法政大学対中央大学の試合を応援しに,朝六時半に家を出て,電車を乗り継いで11時前に群馬県立敷島公園ラグビー場に着いた。あまりに遠くて,旅行気分。

前へ!



敵をかわす。



TRY!


 試合は中央に先制トライを許し,前半8対7で折り返し。拮抗したゲームが続いたが結局27対12で勝った。リーグ戦はあと1試合,拓殖大戦を残すのみとなった。
 今日は曇り空で試合前は時々晴れ間もあったが,後半になって雨が降り出した。カメラにゴミ袋をかぶせての撮影だった。

2008-11-15

情報デザインフォーラム(第2回)

 港の見える丘公園の隣のゲーテ座(岩崎博物館)で開催された第二回情報デザインフォーラムに参加した。


岩崎博物館(ゲーテ座)


基調講演


ポスターセッション


8月27日に行われた情報デザインフォーラム主催の「横浜ワークショップ2008」発表会という位置付けで,ほぼ満席の状態だった。
 横浜ワークショップは,情報デザインを勉強している学生,情報デザインを仕事にしている社会人が,学生・社会人の枠をこえて4~5人のチームを組んで実施された。初対面だった者同士が当日にチームを組んで横浜の街をフィールドワークし,「横浜の地図を作る」という課題に丸二日間という短時間で取り組んだ。
 9月のフォローアップ講習を経て今回の発表となり,情報デザインフォーラムの講師の基調講演,情報デザインの現場にいる企業人の実践紹介のあと,ワークショップ参加の各チームのプレゼンテーション,ポスターセッションが行われた。
 ふだん何気なく歩いている街も,視点によって見え方は千差万別で,様々な地図ができていた。このあたりは,有元典文先生の「学習環境デザイン」講座で話題になっていたことと通ずるものがある。つまり,客観的な「現実」が安定的に私たちの目の前に存在するのではなく,私たちの思考,歴史観,問題意識などが「現実」を構成しているのだとする「社会構成主義」的なとらえかたである。
 最近は高校生もプレゼンテーションによる発表を行うようになってきたが,その取り掛かりとしてポスターセッションは手軽なわりに充分な準備が必要で,プレゼンテーションの前段階で高校生が練習するには良い方法ではないかと思った。
 

2008-11-08

NIE研修講座

 午後からNIE研修講座に参加した。横浜国立大学と神奈川県立総合教育センター,横浜市教育委員会,川崎市教育委員会共催で,一昨位年以来毎年受講している。昨年までの2回はワークショップと講演だったが,今年は講演とパネルディスカッションだった。
 会場は関内の横浜メディアビジネスセンタービルにある関東学院メディアセンターで,このビルには神奈川新聞社とTVKも入っている。

横浜メディアビジネスセンター

 第1部の講演では,この八月に北欧へNIEの視察へ行った相模原市立鵜森中学校の先生の報告があった。視察団が小学校を訪れると,小学生からインタビューを受け,日本のことをいろいろと質問されたり写真を撮られたり,それはごく普通に取材が行われ,新聞の記事になるとのこと。
 最も驚いたのは,ノーベル平和賞の授賞式にこのような小学生が公式に記者章とセキュリティチェックを受けて受賞者にインタビューし,受賞者もきちんと対応してWeb新聞に仕立てていたという話。
 また,新聞社が「メディアラボ」として中学生や高校生を募って企画・取材・編集をさせて実際に発行している新聞の一面を作らせたりする活動も行われているとのことだった。


パネルディスカッション,コーディネータは高木まさき横浜国立大学教授


 第2部のパネルディスカッションでは,高木まさき教授から,小中学校国語の学習指導要領に新聞を用いた学習が盛り込まれたことからNIEを教科の中でやりやすくなる方向にあるという話があった。小・中・高校の先生から,これまでの実践の紹介があった。限られた時間,限られた環境の中で工夫して新聞を用いた学習に取り組んでこられた先生方の実践は,どれも参考になった。
 新聞を切り抜いてコピーしたものを貼り付けたプリントは,生徒にとっては「プリント」で,やはり新聞を丸ごと使った学習のほうが面白いだろうと思う。高木教授の説明の中で,「正確な読解を目指すと学習が行き詰ることがある。大体わかるという読み方も必要なのではないか?」という提案があったが,新聞などをナナメ読みしているときには,そんな読み方をしているなぁと同感。


研修の後は新聞博物館へ

 研修の後は日本大通の新聞博物館へ。ここは一昨年のNIE研修のときに研修の一環として訪れて以来,毎年来ていてお気に入りの場所だ。
 最近読んだ新聞に,若者の献血離れが報じられていたので,横浜駅で何年ぶりかに献血をして帰宅した。

2008-11-03

関東大学ラグビーリーグ戦(秩父宮)

秩父宮ラグビー場で,法政大学対関東学院大学の試合を観戦した。


華麗なステップで走る!


楕円球を持って戦う格闘技。


逆転のトライを決める!

結果は法政24-21関東学院。大変厳しい試合で,法政は後半のロスタイムでトライを奪い,逆転に成功した。2006年に引き続く関東学院からの勝利である。

2008-11-02

海洋空間のシステムデザインカップコンテスト

横浜国大に有志の生徒と出かけ,海洋空間システムデザインカップ、ヒレ推進コンテストに出場した。本校からは2チーム,全体で8チームが出場し、本校は5位と8位だった。

横浜国立大学船舶海洋工学棟入り口


造船の講座らしく,アンカーとスクリュープロペラが飾ってある。


9.2メートル走ってタイムアウト


3.35メートル走ってタイムアウト

レースは造船工学の実験に使う水槽を,10メートル航走するのに要したタイムで競う。2分を越えるとタイムアウトとなり、航走した距離がそのチームの記録となる。
本校から出場したチームは二隻とも直進性能、推進性能ともに課題が山積で、二隻ともコースロープにふれたままタイムアウトとなった。

他チームの船はすべてヒレの回転軸が垂直でヒレを左右に揺動するタイプ,本校は回転軸を水平に置いてヒレを上下に揺動するタイプで,横浜国大の先生からは船の前後の動揺(ピッチング)に対して本校のタイプは優れているはずだとの講評をいただいた。
また,9月23日の公開講座のとき,船を製作する参考のためにもらったタミヤの「メカフグ」をそのまま利用し,ヒレだけを改造したのが2チームあったが,本校はドライブ機構だけを流用した以外はすべて自作だったので,健闘だったと思う。

他校が部活動の一環で出場する中,本校の生徒は,部活動や実習で忙しい身でありながら時間を工面しての参加で,よく頑張ったのに結果がともなわず残念だった。

参加チーム:千葉敬愛高校(1チーム,1位,タミヤ改造),希望ヶ丘高校(1チーム,2位,自作),湘南高校(1チーム,3位,タミヤ改造),横須賀高校(1チーム,特別賞,自作),早稲田高等学院(2チーム,自作),本校(2チーム,自作),以上。

2008-10-29

佐伯祐三とフランス展

出港式の振り替え休日を利用して,箱根のポーラ美術館に『佐伯祐三とフランス』展を観に行った。

 ヴラマンク,ユトリロのほか,常設展ではルノアール,モネ,セザンヌ,シャガール,ピカソ,藤田嗣治の作品もあって,芸術の秋を楽しめた。
 美術館に行くといつも感ずることだが,テレビの美術番組で観るのとはちがって,絵の具の盛り上がりだとか,微妙な陰影だとかがよくわかるので,実物を観たという満足感がある。
 画家の生年・没年や作品の描かれた年と自分の両親・祖父母の生年とを照らし合わせて,その時代に思いを馳せた。

2008-10-25

大学ラグビー(熊谷ラグビー場)

大学ラグビーを応援しに熊谷まで行った。一部リーグの試合はスピードもアタックも目を瞠る迫力だ。結果は法政 45-12 流通経済大。


敵をかわして走る。


トライ!


大学スポーツの応援というと,野球やアメリカンフットボールでは試合中にブラスバンドやチアリーダーが華やかな演奏と演技を見せてくれるが,ラグビーではプレイ中の鳴り物は行わない。トライをとったり,好プレイのときに拍手をしたり歓声があがったり,スタンドから応援しているチームメイトが声援をおくったり。とても紳士的で,集中して観戦することができる。

もっとも,大学野球の応援も華やかで楽しいので時々行きますが。

2008-10-19

出港式


整列も敬礼も立派



「帽振れ!」行って参りますの挨拶



長三声の汽笛を残して出港して行った。航海の安全を祈念する。


 実習船湘南丸の出港式。私自身は「出航式」というほうがシックリするのだが本校では「出港式」と称している。今回は専攻科生と水産工学科3年生が乗り組み,ハワイ方面へ2ヶ月の遠洋航海に出る。「総合実習」という科目の一環で,海技士の資格を得るために必要な航海・機関の実習とともに,鮪延縄漁業の実習も行う。11月下旬にホノルルに寄港し,12月中旬に帰国する。
 少し風があったので,出港後は揺れてかなりの生徒が船酔いするのではないかと思う。ほとんどの人にとって船酔いは克服できる。実習生は船酔いをしても自分の責任を果たさなければならない。360度見わたしても水平線ばかりの毎日,狭い船内での共同生活,清水の使用制限,動揺,エンジンの音と振動,真夜中の実習など,これまで自由に過ごしていた高校生にとっては辛いことの多い実習だが,外地に上陸したときの喜び,帰国して家族に迎えられたときの喜びはその辛さと好対照だ。人生,コントラストが大切だと思う。

2008-10-18

納得研究会

 午後2時から夕方まで納得研究会に行ってきた。会場は青山学院大学(表参道)で,13名の出席だった。大学の先生,小学校の先生,中学校の先生,大学院生,動物園の飼育係,教育番組の企画をしている人,哲学者など,多彩な顔ぶれである。

 納得研究会は『コンピュータと教育(岩波新書)』などの著書のある認知心理学者,佐伯胖(さえき ゆたか)先生が主催し,「どんな授業デザインが人を納得的理解に導くか」を実践報告から話し合う研究会で,今回初めての参加。8月に横浜国大の有元典文先生の研修講座「学習環境デザイン」を受講したときに有元先生から誘われていた。初めて参加する人は必ず何か報告する慣わしなので,今回初参加の私ともうひとり(小学校の先生)が発表した。
 小学校の先生からは,「図工の評価,過程か作品か?」という観点から,主として造形活動の評価について日々感じていることの報告があった。
 私からは学校改編で本年4月から単位制の専門高校となった現場からの報告として,三崎水産高校とはどのような学校だったか?海洋科学高校はどのような学校になろうとしているのか。学校での実習や実習船の遠洋航海のことなど,写真を交えて報告した。
 研究会の後は懇親会。研究会で報告を聞いたり話し合ったりしたことを脳の中にチャンク化して記憶させるためにはこの懇親会が大切と考えています。

2008-10-06

ヒレ推進船のプロトタイピング

 「海洋空間のシステムデザインカップ ヒレ推進船コンテスト」に出場するための船の製作を始めた。製図に関する科目を履修していないクラスの生徒なので,設計図を描くことは省略し,ペーパープロトタイピングで出来上がりの形状を検討する。このプロトタイプをもとに資材を集め,実際に走らせる船の製作にかかることにする。
 夏の情報デザインワークショップでペーパープロトタイピングの説明を聞いていたので早速やってみた。生徒は出来上がりの形状を具体的にイメージできるので,製作意欲もわいてきたようだ。



2008-09-23

海洋空間のシステムデザインカップ

同じ体積の木片,平たいのと高さのあるのではどちらがたくさんの荷物を載せられるか?


海上空港など大型浮体と波の関係を調べる実験装置。


実験水槽(幅8メートル,長さ100メートルは世界最大級)。


船の推進と造波抵抗の講義。

 横浜国立大学「海洋空間のシステムデザインカップ 公開講座」に生徒6名を引率した。これは同大学工学部建設学科海洋空間のシステムデザインコース(以前の造船学科と思う)が昨年から高校生対象に開催している「ひれ推進コンテスト」出場のための公開講座である。
 「ひれ推進コンテスト」とは,魚やイルカなど海洋生物の,スクリュープロペラやジェット推進と異なる推進方法を船に適用する研究の一環として高校生にひれで推進する船の模型を作らせ,その模型を実験水槽(幅8メートル,長さ100メートル:世界最大級)で競争させるコンテストで,11月2日に行われる。
 今回は第2回ということで,夏休み前に募集があった。海と船と魚に関係する催しならば,我が校が出場しないわけには行かないと考えて2年生に募集をかけたところ6名が集まった。今回の公開講座の内容は次の通り。
 ① 船のまわりの流れ(船の推進にともなって発生する波の話)
 ② 船に働く浮力と安定性の話
 ③ 魚が泳ぐときの挙動を船に応用する話
 ④ 実験設備見学(実験水槽と,波の挙動の実験施設)


 高校生には少し難しい内容だったが,少し難しく感ずるくらいのほうが「勉強しよう」という気持ちが芽生えて,良い刺激になるはずだ。船乗り出身の私としても,「任せておきなさい」と感ずる部分と「あれ?そうだったのか!」と感ずる部分があって,とても勉強になった。
 11月2日コンテスト当日に向けて,鰭で走る船を生徒と製作する宿題があるので明日から頑張らなければならない。申し込むときには少し躊躇もしたが,始めてみなければ何事も始まらないので,「とにかくやってみよう」という心意気で強引に一歩を踏み出した。