2011-08-18

『ジョン・レノン,ニューヨーク』と『昭和史のかたち』

 東京都写真美術館へ『ジョン・レノン,ニューヨーク』と、江成常夫『昭和史のかたち』を観に行った。

 『ジョン・レノン,ニューヨーク』:ビートルズ解散の頃から1980年12月8日までのジョンとヨーコそして周縁の人たちのインタビュー、スタジオ録音やコンサートの様子など2時間たっぷりの映画だった。


 私が高校入学前後から社会人になりたての頃までのドキュメンタリーなので、懐かしい気分もあった。
 世界中の誰もが知っているジョン・レノンの、あまり知られていない側面、ビートルズ解散後に彼が何をしたかったのか、子供に対する思いなどが音楽とともにテンポ良く綴られている。
 「Stand by me」はベン・E・キングのバージョンはもちろんなのだがジョンのバージョンがとても好きなので聴けて良かった。
 ジョンが、マルコムXの演説「私が刑務所にいたことを驚くな。君たちは今刑務所にいるじゃないか。」によく似たコメントをしているのは興味深い。


 『昭和史のかたち』:江成常夫の著作『レンズに写った昭和』(集英社)を読んだことはあるが,彼の写真展を観るのは初めてだった。代表作の「偽満洲国」、「シャオハイの満洲」、「鬼哭の島」に「ヒロシマ」、「ナガサキ」合計112点の写真の中に,著書で見たことのある写真も何枚か含まれていた。本の挿絵として見るのと,展覧会で大きく引き伸ばした写真を見るのとでは語りかけてくる深さがかなり異なるように思った。



満州事変から南方への展開、「満洲国」への入植政策、南洋の戦場跡、中国に取り残された孤児たちの肖像、原爆に被爆した人たちの肖像など。
 「シャオハイの満洲」は以前新聞で紹介されていたが今回初めて観た。人生を戦争に翻弄された結果、自分がどこの誰なのか、微かな記憶の家族以前には自分の「血」を遡ることのできない人たちの顔に刻まれた人生。
 「鬼哭の島」の、南洋に放置された兵士の頭骨の写真を見て、今もビルマから帰還しない叔父の遺骨を想った。

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