新藤兼人脚本・監督『一枚のハガキ』を観た。映画は数年前から夫婦50割引適用のため、妻とふたりあわせて2000円で鑑賞できる。そういう年齢になったということ。
自分が生まれる以前の歴史は、人混みの街路を望遠レンズで見る時の圧縮効果に似て遠近感が捨象される。子供の頃は、戦争もチョンマゲも恐竜も「はじめ人間ギャートルズ」も全部一緒くたで、「おじいちゃんが子供の頃は石のお金を使っていたの?」などと思ってしまうように。
盆と終戦の日が重なる8月は戦争を語る映画が多く上映・放映される。それらを観るたびに、自分が生まれる10年と少し前は戦争の最中で、生まれてから今までのほうが永い歳月を経過していることを思う。今も帰らない110数万柱以上にのぼる遺骨、戦死として数えられることなく犠牲となった市井の人々は、「戦争による犠牲者」という統計上の数字ではなく、ひとりひとりに名前と人生があったことを覚えておきたい。
映画の最後の場面で主人公が語る一言、彼がいう前にわかってしまった。ここには書かないけれど、私はそのセリフがとても好きだ。
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