2010-01-03

牛の鈴音

 年末にいくつかの新聞で批評が出ていた『牛の鈴音』という映画を妻と観に行った。銀座シネパトスという映画館,銀座4丁目と歌舞伎座の中間でだいたいの位置はわかっていたのだが入り口が見つからない。探したら,晴海通りを横断するように地下道になっていて,そこにシネマコンプレックスのようになっていた。船乗りだった頃は晴海通りはしばしば通ったが,この場所に地下道があるとは知らなかった。
 映画は新聞で評判になっていたとおり,余韻が残った。
 コンバインは米の無駄がある,農薬を使えば牛の食む草が毒まみれになる,そう言って機械化も農薬もいっさい拒んで,老いた牛を耕作に使い続けるおじいさんと,そんなおじいさんを罵りながらも一緒に牛の世話をし,田畑を耕すおばあさんの生活が「記録」されたドキュメンタリーである。
 小学校低学年の頃,両親の実家に牛がいたことを思い出した。飼い葉を切る道具(押切り)を触ろうとした私に叔父が気づいて,スンデのところで助けられたことがあった。牛の鳴き声,田や畑の風景,風が稲の間を通り抜ける音,そして「はでば」に架かった稲が香ってきそうな映画だった。
 (「はでば」・・・このリンクでは出雲弁となっているが,隠岐でも「はでば」と言う。刈った稲を干すところ)。

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