2010-01-06

情報部会第6回研究会

 神奈川総合高校で今年度第6回の研究会が開催された。
 8本の発表と2本のポスターセッション、私の出番は午前11時半だった。参加者を半分に分けて片方のグループに「4枚カード問題」,もう片方に「ビール問題」を体験してもらい,そのあとでわが校での授業実践を報告した。情報という授業に対していろいろなアプローチがあり,なるほどと思うことも多かった。
 横浜国大,専修大,文教大,湘南工科大,明治大の先生や,情報科の教員を目指す大学生も参加して内容の濃い研究会だった。

 以下,ベタ打ちだが研究会の内容メモ書きを掲載する。
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情報部会第6回研究会 神奈川総合高等学校801教室
10時~17時
1.『情報A ~ペルソナ法を用いた課題学習~』横浜旭陵高校 海部弘先生
ペルソナ/シナリオ法:
H20年度情報部会主催の「情報デザイン」研修会(H20年7月)で,横浜デジタルアーツ専門学校の浅野先生による研修会を参考に授業を組み立てた。

ペルソナというと生徒はゲームを思いつく。ペルソナ:仮面→パーソナル
商品開発に用いられるひとつの方法
架空の人物を設定する。
その人物のプロフィールを細かく考える。
その人物が普段どのような行動をとるかを考える。

70年代80年代には
万人に受けることが良いこととされていたが、現代は、ピンポイントにターゲットを絞る。設定したペルソナならば絶対に買いたくなるものを作る。具体的なターゲットを設定し、その人のための商品開発をする。
使いやすさについてはユニバーサルデザイン。
欲しくなる物についてはピンポイントで開発(例:女性向け雑誌・・・ピンポイントでターゲットを絞る。)。

生徒の感想に、「自分が思っているよりもプランナーがいろいろなことを考えていることがわかった」というのがあった。そういうことがわかるということが目的のひとつでもある。
グループ学習の形態をとった。単位制の学校なので、隣の席の生徒が同じクラスとは限らない。そこで、グループ学習が有用・必要だと考えた。

ペルソナ法の効果
情報検索能力の向上、発表能力の向上、情報整理能力の向上、グループ学習の効果。
企業での商品開発・・・ひとりではおこなわない。グループで、協働でおこなう。そこにグループ学習をつなげる。
設定したペルソナの行動を作る。グループのメンバーでの話し合いを通じて、相手の考え方に触れることができた。
調査項目について、現代社会や家庭科などともかかわるところがある。
評価集計くん Ver.1.2使用。
作り手の都合による生産 → 使う側の都合を考えた生産。
グループワーク:自分中心でなく、設定したペルソナが良い体験を出来るように考える。
実践した感想:
① 自分の力を自覚するという効果があった。勉強に自信を持っていない生徒にも、意外に自分はできたと言う達成感があった。
② 自由に会社名を決めさせておこなったが、実際の具体的な会社を想定させようかと考えている。実際的なことで考えさせたい。

質問1:想定した人物(ペルソナ)の妥当性のチェックは?
答え:ペルソナとの一致度、相互に及び教員も評価している。
質問2:評価について重きを置いているところは?
答え:思考判断に重きを置いた。生徒の相互評価と自分の評価は対等。
大学教員:質問1のように、批判的思考力、自分たちのユーザ像が妥当かという判断する材料が大切。子供たちのペルソナを見ると、設定がめちゃくちゃで楽しかったとの感想があるが、どのように具体的・現実的なペルソナを設定できるか、その支援が必要。グループごとのペルソナの相互のレビューをするなどが必要ではないか?。
答え:班の中ではその手順を設けている。改善として次回は実際の会社を想定しようと思っている。ペルソナの行動を考えさせる。グループ相互のレビューはおこなわなかった。
補足:生徒が楽しんでおこなうにはこれでよいが、実際のペルソナ/シナリオ法ではインタビューなどをおこなって、ペルソナの妥当性を保障しなければならない。今回の場合には「体験」するというところ。

2.『川崎市立橘高校での情報A・Cの授業実践』川崎市立橘高校 布村覚先生
教科書に沿った授業実践から紹介したい。マルチメディアの統合、グループ学習など。
実習例:
(1)音声・音楽表現、音楽ファイルを作ろう:MIDIシーケンサ、トラックごとにはじめはリズム、次にベース、さらにピアノ、ビブラフォンなどを重ねてゆく。
没後70年のミュージシャンの作品を利用。(著作権OK)。3-4時間で作成する。

この後、メディア統合の実習に利用。
情報ADTM(音楽プログラミング)ミノ式シーケンサでMIDIファイル作成→PC内録音実習(音楽情報→音)Timidi MID→WAV→音楽編集実習(マルチトラックサウンド編集)これをWAVあるいはMP3などで保存可能。

(2)画像処理:ADOBEのphotshop使用(本校でOffice以外では唯一有償のソフト)
表計算ソフトによるグラフなども含めて、メディア統合・動画編集。携帯電話を利用、グループで数台利用可能。携帯の動画はパソコンで使うときには「携帯動画変換くん」などのソフトを使っている。そうしないと使えないので。3GP2などはパソコンで使えないため。AVIファイルを選択して変換。
動画編集のテーマ、リテラシーにかかわることだが、高校生活のマナー、ルールについて15秒または30秒の動画を作らせている。
音楽ファイルなどと統合し、ムービーメーカーで編集するというのが最終段階。
ムービーメーカー、表計算のグラフなどのファイルをプレゼンテーションにまとめる。
(3)ディベート:肯定、否定の設定など感情的なことを排して。詭弁、前件否定、未知論証などの説明をひとおり行う。賛成側、否定側は、ディベートの当日じゃんけんで決める。だから、準備は両方用意しなければならない。
ブレインストーミング、5人8グループでおこなわせる。話し合いの段取りを学習させる。5人のメンバーが司会のリードのもとで議論を進める。ルールとして必ずひとり一回は語ることなど、出た意見はカードに書く、関連付ける、ストーリーを作る、という流れ。
(4)3DCG:情報C、10時間くらい。いつも左手を用意しろ。親指人差し指中指でXYZ軸。カメラの位置はz軸上マイナス方向、対象ははじめは原点。視点を変えてみることが出来る。どう見えるかという実習。トランスレイトとローテイト、生徒がウェブからもらってきたのを作品に使っている場合があり、それを確認したら減点するのだが、すべてを確認できないのが泣き所。
(5)表計算:
RAND関数を使った籤
でたらめなデータベースを整列するプログラム
データベースから個票を作るなどのプログラム
(6)SQUEAK:情報Cで実践している。情報部会の研究会で教わったことがきっかけ。
(7)座学:大学入試で「情報」を取り入れている大学の試験問題,web上で公開されているものなど利用。前後期の試験を8割でおこなっている。

大学教員:学芸代付属世田谷中学校の総合的な学習の時間、音とドラマという取り組みで、SoundEngine Freeソフトを使った。高校生ではMIDIが可能なのか。
答え:楽譜、小中の音楽の授業では読譜の学習がないので吹奏楽部など以外の生徒は楽譜が読めない。ので、ソフト上で音を置いていくなどのあつかい方。
質問:キーボードを使えば音を置けるが、
こたえ:キーボードを買うお金がない。
質問:お金がかからない携帯電話の動画参考になった。NHKが著作権フリーにした動画を公開しているところもある。それを活用することが可能である。
大学教員:授業時間数はどれくらいですか?(コブレー?)、CG検定は?
答え:10~12時間。WEB上コブレーファースト。CG検定はしていない。
大学教員:AO入試でも同じようなことがあるが、発表させたときに怪しいところで「ここは?」と質問すると、パクッテきた生徒は返事が出来なくなるのですぐにわかる。

3.『図書館で本探し』武相高校 宮越章子先生
○情報科のなやみ
情報処理実習室の使用に制約があるので座学の必要があるが、教室以外のところで活動を伴う授業も行いたい。情報に関連していてコンピュータ以外の授業を模索している。
○図書館のなやみ
蔵書2万冊、新聞過去1年は保存、雑誌多数配架、月に1回の映画上映実施、漫画の配架など充実させているが、「生徒が図書館を利用しない」という悩み。

図書館と情報科の悩みから→「図書館で本探し」という授業を計画した。
目的:図書館での本の捜し方、書誌情報の見方を学習し、情報検索ができるように、さらに図書館を利用するように。
(1)日本十進分類法の学習
「楽しいサッカー教室」スポーツは日本十進分類法ではわかりにくいところにある。700番代、芸術に分類されている。
(我が校でも、「請求記号」の見方でゲームやった。)
(2)書誌データの見方、奥付のところの説明、出版年と刷年の違いなど。
生徒のワークシート:全員分違う書名となっている。
第1課題は書名によってさがす
第2課題は「何々」という内容の本を探すと言うことになっている。なので、生徒によって分類が変わる(「ひきこもり」という社会問題を探すのか、「引きこもり」について書いた小説を探すのかなど。)

「エスペラント」「レッドデータ」などの内容になると生徒はわからないことが多い。必ずしも成績の良い生徒が早く見つけられるわけではない。
 先生にしつこく質問する生徒。
 友達を上手に使う生徒。
 偶然見つけて大喜びする生徒。

修学旅行の事前学習などにも活用。(情報の「総合実習」)持ち時間5分で発表する。生徒同士で相互評価,校内発表。

(3)修学旅行の事前学習ー再び図書館にて
ひとり1冊ずつ本を探す。本の中にテーマと番号が挟み込まれている。
3つのテーマの中から自分が発表したい者を選んで本を使って調べる。
発表順は番号で決まる。
本で調べたこと+インターネットで調べたことをまとめる。本では、書誌情報の明記。インターネットならどこからか。
情報を得るのはインターネットだけではない。図書館をもっと利用しよう。分類方法がわかると、情報はどのように整理すればよいのか、さがしやすいか。
著作権の扱い・・・引用のルール。
質問:本校でも図書館利用が課題。ワークシートをどのくらいの率で完成したか。
成績評価にくわえているか
答え:8割くらいが出来ている。評価:よほどサボっていなければOK。まったくやっていなければ減点。

4.『表現と内容の理解』海洋科学高等学校
 はじめに参加者を2群に分け、一方のグループに4枚カード問題を実施。16名中8名正解(50%)
もう一方のグループにはビール問題の演技をしてもらって解答。16名中15名正解。ほぼ100%。
このあと授業実践の報告。

科目  :2年生の「課題研究」(1単位)
単元  :表現と内容の理解(「Wason の4枚カード問題」を題材に)
時間数 :3時間
受講人数:6講座展開で、1講座20~27名

【概要】
この科目は、3年生の「課題研究(3単位)」の準備として2年生全員に対して行っているもので、週1時間、一般教室(講座が同じ曜日・時間に重なるので)という制約の中で次のような「研究のための準備」を積み重ねてきた。
1時間でできるミニ実験(味の変調、浮体の安定、力の釣り合い等々)、図書の探し方、新聞学習、考察の書き方等々。その一環として「Wasonの4枚カード問題」を実施した。

【目的】
同じ論理構造をしていても、表現によって内容の理解のしやすさが異なることを体験的に理解する。「論理的に考える」とはどういうことか?

【授業計画】
(1) 単元設定:「表現と内容の理解」、3時間(1時間ずつ3回)でおこなう。
1回目 飲酒問題
2回目 4枚カード問題
3回目 類似問題の提案とまとめ

(2)飲酒問題(1回目)
パーティで缶コーラと缶ビールを出している。成人は名札に赤いテープを貼ってある。
しかし、会場では名札が見えにくかったり、飲み物の缶が見えにくかったりする。
未成年が飲酒していないか、どの人を調べればよいか。
① ビール、年齢不詳  ②飲料不明、成人 ③ 飲料不明、未成年 ④コーラ、年齢不詳

この問題を個人で考えさせた。
45名の生徒に実施して42名が正解した(正答率93.3%)。

(3)4枚カード問題(2回目)
ロングホームで次のような課題を出した。4枚セットのカードを作る。片面にアルファベット、裏面に数字を書く。大文字を書いたカードの裏は偶数にする。作ったカードがルールどおりか調べるには、どのカードを確かめればよいか。

この問題をグループで討議させた。自分の意見をワークシートに書く。グループで討議する。意見が一致したらグループの意見とするが、意見が一致しなければそのままにする。
41名の生徒に実施して19名が正解した(正答率46.3%)。心理学実験として厳密にこの問題を実施した場合には、大学院生の場合でも4~5%の正答率といわれている。
今回の場合は、①ビール問題を先に実施したこと、②同じ生徒に対してグループで討議させたことなど、ビール問題と実施方法が異なるので比較することは無意味である。
今回は、あくまでも「同じ論理であっても表現が異なると内容の理解が異なること」「論理的に考えるとはどういうことか」などを体験的に学ぶことを目的としている。

(4)まとめの授業(3回目)
「ビール問題」と「4枚カード問題」をベン図で解説し、同様の問題を生徒に提案させる。
生徒が提案した問題
提案1
「消しゴム」と表示するなら、字を消せないといけない。次のどれを確かめればよいか。提案2
食品実習工場に入るにはゴム長をはかないといけない。どの人を見張らないといけないか。

(5)生徒の感想
解くことはできるが作ることはできなかった。
ビール問題より4枚カードのほうが難しい感じがしたけど、実際は同じような問題だったので、多分表現を変えるだけで違ってくるのかなぁと思った。
言葉の言い方で感じ方が変わるのに驚いた。
何か一つを基準にすると考えやすいと思った。
なんとなくはわかるけど理屈がまだつかめない。←この感想が正直。そして課題だ。

(6)おわりに
① 個人解答の「ビール」はほぼ直感で正解した。「4枚カード」はグループでかなりの議論をしたが、グループ内に正解者がいても意見が一致しない場合もあった。しかし、心理学実験として行った場合よりも正解率は高かった。
②「たとえ話」の危うさを実感した。授業中に行う「たとえ話」を、生徒は学習の主題と結び付けて考えているのだろうか。学習は本当に「転移」するのか?
③「問題解決の能力」「思考力・判断力」といわれるが・・・

質問:第1前提を疑うと問題が成立しなくなる。
答え:そのようなことの内容に説明したが、生徒の中には説明をよく聞いていない者もあり、結果としては問題がわからない生徒もいた。次回以降の改善点としては、この問題の構造を本当に理解すること、表現の違いで理解に差が出ることがわかること。
大学教員:「たとえ話」が実は通じてないのではないかという話、そこが重要。授業で取り上げる「たとえ話」は生徒の理解に配慮して使う必要がある。

昼休み:ポスターセッション 横浜清陵高校 五十嵐誠先生

5.『話し合いの授業の進め方のコツ(メディアリテラシーを題材に)
(1)4名程度のグループを作る。そのとき、机をしっかり並ばせる、授業はきちっとさせるそのところが大切。
どのニュースを報道する?10本のニュースの見出しからどのニュースを報道するか、3本を選ぶ。まず個人で選ぶ(制限時間1分)。
次にグループの司会、ディレクター、書記を決める(制限時間2分)。
グループで討議し、ニュースを3本選ぶ。話し合いがつかない場合にはディレクターの判断とする。発表はディレクターが行う。

(2)発表
机をつけたままの発表では集中しないので机を元に戻す。
発表は次の要領で
○○班です。よろしくお願いします
拍手(必ず)
私たちの班では1番目では○○
2番目は○○
3番目は○○
理由

大学教員:大変楽しい発表。最後の振り返りではどのようにさせるのか?
答え:ちゃんと発表できたか、自分の考えを述べることが出来たか?など。個別にさせる。
大学教員:ジョンソンアンドジョンソンの「協働学習の技法」という本を参考にしたのか?神戸大学在学中にその講義を受けた。
大学教員:班で発表したときに同じ傾向になるのか?
答え:この題材だとそろう班もある。
大学教員:たまたま二本の事件ばかり重要にする班ばかりであったとき、それでよしとなるのか?
答え:そうではなく、放送局、新聞社によって扱いが異なることの話。
大学教員:机の並べ方、戻し方、そうした授業の設定の仕方など勉強になった。教職課程の学生に対して。
大学教員:湘南版のニュースなのか、全国なのか,あるいはアメリカやイギリスの地方版なのかという発想はあったのか?
答え:湘南版というのはあったが、アメリカと言うのはなかった。
質問:日ごろの授業で、授業の前に今日の目標を伝えるようにしている。そういうことは大切と思った。シラバスではどの編ですか?情報Aですか?
答え:情報の信憑性です。

6.『プレゼンテーションソフト等を用いた生徒による『学校紹介』の授業実践の報告
横浜国際高校情報科 松田望先生
(1)実践報告
「情報と表現」の授業で。これは専門教科「情報」で、必履修科目。情報Aとさほど変わらないと考えている。
45分を週に2回。
「私のお勧めスポット」というプレゼンテーションを作る課題。写真、ランドマーク、富士山などを例示として紹介する。
プレゼンテーションソフトを用いた生徒による学校紹介
対応する単元:プレゼンテーションの基礎
生徒による学校紹介の狙い・・・・情報の統合、何を伝えたいか、相手を意識、人前で話す。
近いうちに学校説明会があるのでその席で中学生に説明すると言うのが目標だと伝える。目に見えるものをカメラで撮影しコンピュータに取り込み、加工し、伝える。
生徒による学校紹介の指導計画
テーマ設定、画像の取り込み、スライド作成、個人作品製作、リハーサル、グループ外発表、発表・相互評価、自己評価

デジカメを1グループに1台貸して授業中に実施、他の先生には事前了承を得ておく。何枚撮っても良いが、なかには4-5枚しか撮影しない生徒もいる。後になると困るとはあえて言わない。いずれ生徒が気づくので。
発表は2分(2分以内には発表を終わらせない。早く終わりそうになったらそのまましゃべらせる。時間を越えそうなのはタイムキーパーがしっかり。)
始まりと終わりは拍手。ハイタッチもあり。学生の頃、それが記憶にある。聞く姿勢が大切、発表者を助ける。

(2)ワークショップ風に・・・
あなたの働いている職場に興味を持つ、就職活動中の学生に職場のお勧めを1分で紹介してください。
今から5人程度でグループを作り、発表順を決めてください。
グループ意識の重視
グループ発表の導入
提案型プレゼンテーションの実践
来年度の遠足は個々がお勧め→プレゼンしたところへ遠足で行った生徒もいる。
生徒による学校紹介
授業時間数が増えたので他の単元を圧迫したかもしれない。
情報モラル 肖像権や知的財産に対する配慮が必要だったか、本人の了解のない撮影など(面白半分など)について注意が必要。
外への発信 学校のWEBに掲載することも考えたい。
個人とグループ グループに重点を置いた。授業の雰囲気が変わる。良いバランスをとりたい。

本校情報科としての課題。国際情報科、「国際」という点を。
専門情報の意義、1年次の「情報と表現」のみで終わる生徒もいる。
「社会と情報」などの方向に移行していく必要があるのか。
情報のキャリアガイダンス。
情報の選択をしなくなる生徒がいる。その傾向に対する対策。
他教科とのかかわり、TT、ソフトの使い方などのことに終わらず、英語と情報などのようなコラボを考えたい。
情報機器:コンピュータ室4室、カメラなどの機器充実、メンテナンス必要。
情報専任が2名。
情報機器以外の情報教育、肖像権などのモラル教育、セキュリティ教育などの必要性。

1年やってみてとてもよかった。1年目から2年目へのステップを感じることが出来た。
質問:本校でもプレゼンを「総合実習」という単元で10時間やっている。貴校は8時間で実施か?それとも増やすのか?
答え:今回は若干多かったように思う。少ない時間でも、時間以外での調べもあるので。一つ一つを小さく実施して圧縮。
大学教員:写真が少ない生徒,その後撮影する機会があるのか?
答え:この単元に関してはない。勝手に撮ってるのはあると思う。
大学教員:自分が研究授業に参加した高校でもやっていた。先生を出演させたりしている。その交渉も含まれるかもしれない。外に見せると言うことをはじめに行っておくと良いかもしれない。
質問:自分の場合はまず絵コンテを作らせる。それによってストーリーを考えさせる。その手順が大事。
補足:事業所見学を報告させている。そのときにやはり絵コンテを作らせている。いきなりパワポを作ると、はじめのところのどうでも良いところで時間ばかりかけてしまう。
質問:自分の場合にはストーリーシートを書かせている。それが必要かな。
答え:自分もスライドの下書きは作らせているが、それに時間をかけていなかった。
大学教員:情報という科目以外とのコラボレーション、十分可能。海外の大学とインターネットを通じての交流。国語、ワープロ使って編集のこと。情報だからといって情報の先生だけと限らず、他教科とのコラボは大切と思う。
質問:人数バランスが会わないとき他のグループの見学と言うのは良いと思った。情報の授業では「前を向きなさい、手はお膝」が大切。
大学生:グループわけでテーマ設定、中学生に高校紹介。その他の設定はありますか?作成は一人一人ですか?
答え:テーマは生徒が考える。大前提として、伝える相手は中学生ということ。グループで取材するが作るのは一人一人でやる。同じ写真でも使い方が変わったりする。

7.『本校の情報科に関して』横浜緑園総合高等学校 渡辺一也先生
皆さんは授業の実践報告だが、私の場合には本校の情報科について発表します。
情報A、パソコン基礎、Web入門を2名の教員で担当
パソコン基礎:ワープロソフト、表計算ソフト活用、文書データ整理など。ワープロ検定を実施して資格取得。
Web入門:Web作成。
「産業社会と人間」の中でプレゼンが必要ということで、(自己課題)でプレゼン。『仕事の学び場』のプレゼンもやる。
自己課題のプレゼン実演(ビデオ)
例示1;「鶴の折り方」のプレゼン。
鶴を折りながらプレゼンテーションした。それを見えるようにするべきだった。
90分授業を(説明、制作)3回,発表2回合計5回分使った。
例示2;『仕事の学び場』自分が経験したことを発表。産業社会と人間でおこなったことを、パソコンを使える授業が情報しかないので情報の科目中にまとめさせる。

定期試験に出す内容などのまとめ。
Web制作をおこなううえでの画像処理『ぎんぷ』というソフトウェアを使った画像処理。画像合成とHTMLのTAG学習。動画についても学習した。

昨年度の反省点:
1 情報Aの担当教員1名、パソコン基礎、Web入門の担当教員1名。科目間情報共有がすくなかた。
2.授業内容がプレゼンにかかわる部分が多くなった。時間割変更がないため、クラス間で最大1か月分(45分×8回)分の授業時間差が生じた。

21年度の情報科
情報A
プレゼン学習、2進数情報のディジタル化、ハードウェアの仕組みなどコンピュータを使わない授業に関する学習意欲の差

情報B
2進数、アルゴリズム、VBAなど。
プログラミングなど内容が数学的な部分が多くなるためPC操作に傾き,学習意欲の差が生じている。

情報C
新聞記事を毎週配布、記事について考えてきなさいと言う課題。

本校および情報科のこれから
座学でおこなう内容のひきつけ方の模索
科目選択における生徒への十分な説明
実習内容の精選
教員負荷の軽減(対教員、校内ネットワークの整備など)

大学教員:座学でおこなう内容、アンプラグドコンピューティング、本を参考にするのも良いが、大切なのはその理念を借りて自分で構築すること。
大学生:生徒が静かに聞いていたがそれは指導した結果か?
答え:はじめるときは拍手、終わるときも拍手、人の発表は黙って聴こうという指導はしている。感想などを書くシートを配布しているので、それを書き込むときには静かになる。
大学教員:生徒のスキルの差は?
答え:作業中は出来るが考えなければならない場面では難しくなる。
大学教員:プレゼンの目的によって作り方説明の仕方が変わる。生徒への説明は?商品の紹介などでは写真・画像が多い、字は少ない。研究発表の時には字が多くなるなど、目的によってプレゼンの作り方が変わる。
答え:生徒には説明する。聞き手のことを考えて作るなど。
質問:発表のときの演出、実物も見せるなど。
質問:実技の程度に差があるときには?わが校は一人で授業をやっているが。TTを立てられないので、はじめ何回かの授業で生徒のスキルをみて、よくやれる生徒の間に遅れがちな生徒を入れて、前のほうに固める。
大学教員:静岡の高校で情報Aを週に1回やっている。Windows"me"を使っている。時々フリーズする。座学系が多くなる。子供たちは笑いとオチがあると授業に乗ってくる。
質問:情報Bはインナー、情報Cは外向きというとらえかたでやっている。スキルの低い生徒のコンピュータをとってやってしまう生徒がある。スキルを求めているのではなく、アイデアがほしいわけなのに。

8.『情報教育の実践と提案』金沢総合高等学校 小笹雄二先生
情報Aだけで完結させようと考えてはいけない。いろんな科目、外との連携の中で情報教育を進めていくべきだろう。
配布資料は、生徒のコピーの一部。座学もおこなっている。
金沢総合の全体を情報Aが担っている。プレゼン単元は、パワポの使い方を2~3回だけ。あとはその他の教科・科目で応用的にプレゼン能力がついてゆく。
産業社会と人間、現代社会(地球温暖化をやっている、ニュースにもなった。なら、「地球温暖化」をテーマとしたプレゼンを作ろう・・・生徒のほうでは「現代社会」でやってる)と言うことになる。
出来上がったら社会の先生に渡す。社会科の授業資料となる。
情報Aは、スキル、そこから上は各教科・科目で。
インターネットでの検索、学校ではとても遅い。それよりも図書室で調べさせるほうがずっと良いということになる。
図書室で調べたことをプレゼンにする。
情報Aでレポートをまとめさせることはあまりやっていない。しかし、他の科目でレポートを作ってゆくときに、情報Aが活用される。
文書処理、データ処理 コミュニケーション Web作成 プログラミング マルチメディアなどの流れ。

情報A:
コンピュータは使えたほうが良い。コンピュータを忌避することはない。しかし、情報の教科書もしっかり使う。情報処理教室で座学もおこなっている。
机の天板の下にキーボードを入れられるようになっている。生徒モニターなどを活用して説明する。

言語活動の充実:コンピュータ室でも出来る。
世の中で困らない技術まではやっておく。そこから先は各教科・科目でやる。ソフトウェアの使い方ばかりではつまらないから、生徒を5班くらいに分ける。データをとって来させる。たとえばR16の交通量、車の種類ごとと時間帯など。クラスによって時間帯が異なるので、かなりの時間帯のデータが集まる。それを収集してまとめる。
Webページ:はじめはHTMLでやって,作った,出来た、良かった式をやっていたが、最近は二人組になってインタビューし会って、インタビューしたことを材料に、相手を紹介するWebページなどを作らせている。
大学生:情報Aはスキルと言う話だったが、県立高校にボランティアで出向いている。ワープロや表計算の使い方をやっているが、大学で教わったように「相手にとってよりわかりやすいように」と言うことのほうが大切と思うが。
答え:情報Aだけで完結ではないから、他の教科・科目とのコラボが大切。教育課程全体で情報教育をおこなっていくという視点。
TTは31番目の生徒と考えることでTTの問題は解決した。
情報Aの授業中に、空き時間の生徒が入ってきて調べものしてもまったくかまわないルールになっている。進学した生徒が「金沢総合の情報Aで鍛えられたおかげで、大学でのレポート作成、ゼミの発表など苦労は何もない」という感想。
大学教員:情報のあるべき姿に近いと思う。その他の教科・科目と連携できているのか上手くできていればどのような点で。
答え:家庭科の先生が良く情報教室を使う。縫い方、調理実習の手順などを情報教室でおこなっている。生徒は良くわかるようで、授業にスムースに入っている様子である。数学のグラフをコンピュータの上で書いて関数を説明するなどのことに活用している。
大学教員:情報Aの続き、関連と言うことを他の先生は認識しているのか?そういう広がりはどこが原因か?
答え:うちは情報教室はオープン、誰でも使える、出入り自由。
補足:そういう関係が校内で定着しているので教員も生徒も、情報教室を使いこなしている。
大学教員:生徒から他に要望があったのか?もっと詳しく知りたいなど。
答え:できる子にとってにはもっと詳しく、出来ない子にとってはもう少しゆっくり。全体を通すと、中間層近傍をターゲットにしているが、課題は10のうち5くらいが出来ればよしとしている。
大学教員:外へ出ることについて校内で障壁はないか?
答え:格段情報の科目だけが外に出しているわけではない。福祉などでも外へ出ていてそのことは本校でも当たり前のことになっている。


講評
横浜国立大学 額田順二先生
午後の発表だけ見たが、その中で「原点」がキーワードになると思う。「時を守り、場を清め、礼を尽くす」ということばをどこかで教わったことがあるが、まさにこれが教育の原点であると思う。その意味から、諏訪間先生の授業における生徒の律し方はその原点であると思った。机の並べ方、議論してよい場合と先生の話を聞く場合の設定の仕方、議論する時間の守り方、発表の仕方など、原点に則った授業の進め方をされている。
松田先生と渡辺先生のご発表、座学とコンピュータの実習のどちらに重点を置くか、情報を教えるのか、情報機器の操作を教えるのかなど、何を教えたいのか模索しながら授業を構築してこられた。小笹先生のご発表、情報で何を教えるかについて「安上がりに済ませない」という信念に貫かれていた。これら4本の発表に触れて、教育の原点ということを考えさせられた。
皆さんに宿題をひとつ。「教育の原点は何ですか?」と問えば、教育基本法の中からすぐに答えを導き出すことができると思う。それは日本の中でのこと。世界のどこでも普遍的に通ずる教育の原点とは何か考えてください。私の場合は漢字5文字、ひらがな1文字で表します。

湘南工科大学 鍋島尚子先生
それぞれのご発表のときに質問したことを講評とさせていただきます。今日はありがとうございました。

専修大学 望月俊男先生
子供の思考、態度をどのようにして21世紀向きにしてゆくかだと思う。そこが難しいところですが。子供が学習活動に参加して「考える」という活動を、どのように日常につなげるのかということだと思う。

文教大学 佐久間拓也先生
学術研究の発表では、「授業実践、つまりどういう授業をしているのかということが見えない」ということが今日の実践報告を見てよくわかった。研究報告だけでなく、授業の実践報告も大切である。特に「情報」の授業は毎年変わる。先生方の自分の反省から、あるいは他の教員の例を見て、昨年の授業と今年の授業はちがう。実践報告の中から新たな授業も生まれると思う。

文教大学 新井立夫先生
週に1度静岡県の高校で常勤講師として情報の授業を行っている。グループワークのときと先生の説明のときで机の配置を変えるという、ちょっとした工夫で授業の空気が変わるということを今日は体験してなるほどと思った。他者への配慮ということだと思う。

文教大学 川合康央先生
情報デザインに関わっている。情報学部の学生がこのごろ変わってきた。情報学部はコンピュータを教えるところではないということを、学生がわかるようになってきた。プロジェクト型学習、グループワーク、相互評価などを取り入れて、情報らしい授業実践が多かった。

明治大学情報コミュニケーション学部 古屋野素材先生
教科「情報」では情報という縦軸と、他教科との連携という横軸を大切にしたい。多人数の授業では、携帯電話を活用して質問に対する回答(解答)の即時集計などを行っている。高校の場合には制約もあるかもしれないがそうしたテクノロジーの活用もこれからは必要ではないか。電子黒板(Smart Whiteboard というらしいが)の活用など。

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