2012-12-12

湘南丸帰港

本校の実習船湘南丸が約2ヶ月の遠洋航海実習を終えて三崎港に入港した。

今航海の実習生は専攻科8名だった。三級海技士の資格を取得するための航海・機関の実習とともに,鮪資源調査を兼ねた鮪延縄漁業実習もおこなった。

漁獲物は通関後に水揚げし,セリにかけて神奈川県の収入となる。

入港の朝,富士山がきれいに見えた。


朝日を背に入港。


いよいよ着岸


まずは漁獲のサンプルを魚市場に。

2012-12-08

すべての学校で進める海洋教育

東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター主催の第6回シンポジウム・海は学びの宝庫「すべての学校で進める海洋教育」に参加した。


東大の銀杏並木。この先に安田講堂がある。

1. 小中学校の海洋教育実施状況に関する全国調査の結果

2. 三浦市における海洋教育の取り組み

3. 海外における海洋教育推進の事例(カナダ,台湾,オーストラリアなど)

4. 座談会(文部科学省教科調査官,海洋教育促進研究センター研究員他)


日本の領土面積は約38万km²で世界第61位だが、排他的経済水域の広さでは世界6位である。この事実を背景として,海洋基本法は第 28 条(海洋に関する国民の理解の増進等)で国民が海洋に関する理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育において「海洋に関する教育」の推進することを求めている。


海を学びの場とする水産高校は,日本の海洋教育の一翼を担うべく,視野を広げて行く必要がある。





2012-11-25

教育心理学会

23日から25日まで琉球大学で開催された教育心理学会第54回総会に行ってきた。






私は会員ではないが、横浜国立大学の有元ゼミのメンバーがパネル発表を行った。

どのような学習環境デザインで「学習」が成立するのかとても興味深い。

独立行政法人航海訓練所の練習船青雲丸で行われた「主機ピストン抜き実習」でリーダーシップがどのように発揮されたか、ヨットスクールでほとんど座学を行わずにヨットの操船技術を習得してゆく学習過程など、私に関わり深いテーマもあった。






宿と琉球大の行き返りをどうしようか考えたが、沖縄料理で酒も楽しみたいのでレンタカーは借りなかった。事前にバスマップ沖縄から紙版のバスマップを送ってもらっておいたので、初日から最終日までほとんどの移動はバスを利用した。


食事したところ

ボトルネック(栄町)・・・豆腐よう、島豆腐のやっこ

東大(栄町)・・・おでんと焼きテビチ

なかや食堂(国際通り)・・・ラフテー、おでん、ミミガー

牧志第一公設市場(国際通り)・・・刺身、もずくてんぷら、もずく酢、海ぶどう

ネコハウス(北谷のゲストハウス)・・・バーベキュー







焼きテビチ

2012-11-18

第15回神奈川県高等学校産業教育フェア

17日と18日の両日、そごう横浜店新都市ホールで「第15回産業教育フェア」が開催された。




本校からも実習作品の展示、課題研究の発表、湘南丸実習ビデオ映写、組紐体験などを行った。

課題研究の発表は18日に行われ、透明骨格標本の研究と花毛布の研究を紹介した。花毛布の発表では壇上で実演も行い、観音菩薩、大輪、コブラを披露した。










2012-11-17

Beaujolais Nouveau 開栓パーティ

2012年11月17日
友人が経営しているレストランToki Plage Lunatique併設のセルフバーベキューGEKKOでボジョレーヌーボー開栓のポットラックパーティーがあったので行ってきた。

ワインの味は、甘い、渋い、軽いくらいしか区別がつかないが、やはり新酒は日本酒でもワインでも美味しいんだな。60人くらい集まって、知っている人は数人、ほとんどは初対面だったが共通の話題もあって楽しくすごした。



2012-11-15

友人の帰朝祝い

ベルギービールの店「横濱cheers」で英国に留学していた友人の帰朝祝いをした。


ベルギービールだけでなく、ドイツや日本のビールも多数用意されている。ドイツの白ソーセージ、ザウアークラウト、ベルギー風のジャガイモ料理、朝獲の刺身などみな美味しかった。

2012-11-10

吉田輪歌緒個展『かかわり』

新宿眼科画廊吉田輪歌緒さんの個展『かかわり』を観に行った。


透明なアクリルに描いたイラストを積層した「レイヤードアート」という作品で、立体画ではなく、平面画と平面画を透視して人と人の「かかわり」を立体的に捉える。家族や深い友人関係がある一方で、一瞬すれ違っただけの人なのに記憶に残ることもある。いろいろな「かかわり」が織り重なって世界はできているのだなと思った。


個展のあとは、一緒に観に行った友人と上海料理店「上海小吃」でビール、紹興酒、珍しい料理を楽しんだ。蠍の素揚げと蛇の唐揚げも!!!



2012-10-27

第5回海洋祭

26~27日の2日間にわたって海洋祭が開催された。

航海系、機関系、情報通信系、資源系、食品系など水産・海洋の専門分野の展示、課題研究の展示、遠洋航海実習のビデオ映写などを中心に模擬店やクラブ紹介も行われた。

生徒会本部主催の各県水産高校実習製品や鮪の販売が人気で、私もメバチマグロの中トロを買った。
一般に公開された2日目の来場者は2185名だった。







菊水



パネル展示



爪楊枝橋



研究発表の紹介

2012-10-13

湘南丸出航式(平成24年度第二回)

湘南丸の第二回遠洋航海出航式が行われた。



今航は専攻科1年生だけの乗船なので、実習生にとって充実した航海になる。本科生の時以来3回目の遠洋航海なので、整列、敬礼などの礼式もしっかり板についてきた。
仕向け港はホノルル。航海・機関・鮪延縄漁業実習を行って12月中旬に帰港する予定だ。
彼らは来年4月には座学課程に進級し,3級海技士国家試験を目指す。


2012-09-30

納得研究会(2012年第4回)

立教大学で2012年第4回納得研究会が開催された。
夕方から関東地方に台風17号が接近するとの予報だったが18名の参加を得た。

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本日の発表は次の2題。
(1)「幼児教育における音楽の意味とは - 幼稚園での出張コンサートの実践事
例から」
新原さん(筑波大学大学院),大澤さん(横浜国大大学院)
(2)養護教諭の学校内機能について
菊地さん(横浜国大附属特別支援学校)

発表1
プロの演奏家による幼稚園での出張コンサートを紹介する。本事例を通して幼児教育における音楽の意味を問い直すと共に,演奏者・企画者・教職員が恊働し,コンサートを「ホンモノ」の音楽に触れる学習環境としてデザインする過程に着目する。

○ 研究の端緒:
幼児教育で音楽がどのようにつかわれているか。
音楽鑑賞のための時間は少なく、行動統制に音楽が使われることが多い。
食事の時間とか、片付けの時間など。
日常では音楽に関わる行動で鑑賞にかかわらないことはないだろう。と思った。
幼稚園からクラシックコンサートの依頼があったことが研究の端緒となった。


○ 目的1 音楽も学習・発達の場としてデザインできないかと考えた。
幼児と保護者に対し、単発でなく年間を通じて計画した。
出張コンサートは現在では珍しくない。アウトリーチ活動として、幼稚園・小中、特別支援学校まで。

○ 目的2 出張コンサートを教職員と演奏家の横断的目的活動として見よう。
保育園併設の子育て支援センターなどを対象に。

○ 事例1:
2歳児未満の部「手をたたきましょう」、テノール歌手による本格的な歌唱方法で。
母親と膝に抱かれた幼児、母親が子供の手を持って音楽に合わせて手を叩いたり足踏みさせたりしている。「怒りましょプンプンプン」「泣きましょエンエンエン」などの場面では子供の表情を覗き込むなど、母親の行動に注目。
鑑賞行動「赤ちゃんは家族の中で話し手てあるいは産出者として発達する。喃語であってもあかちゃんは会話に参加して話している。ホルツマン、Zpd。

出張コンサートは赤ちゃんが鑑賞者に「なる」場、最近接発達領域として機能していたのではないか。三回目では子供が手を自発的に叩いているように見える。
賞賛として手を叩く場面では赤ちゃんはそのように手を叩いていないが、歌に参加する場面では自発的にリズムに合わせて手を叩いているように見えた。

○ 質問:はじめ親が一緒に手を叩いて注入したその惰性が残っていたのではないか?ホルツマンの言うZPDではないのではないか?
→ いや、リズムがあっていたように思う。

○ 園の反応:
「せっかくクラシックなのだからクラシックらしい曲を増やして欲しかった。」
「ニワカ音楽でない専門家の音楽が聴けた。」などの感想。
→ 本物(プロ)に対する権威づけが行われている。

○ ※ 工場労働者と技術者との協働
鋳造所、システム構築の際に工場労働者の経験はシステム構築や配備のリソースとして用いられなかった。

ホンモノとニワカという強い境界をひくこと。協働が発展しない可能性を秘めていると思う。
プロなら本物?教職員なら本物でない?
演奏者と教職員双方の音楽観や教育観、「ホンモノ」概念の変化を追う。

○ 質問
・ 聴くというより参加するというのが多かったように思うが?
→童謡であっても活動を伴わない鑑賞主体のもあった。
・ 自分の場合は子供が聴きやすい、伴奏がゴチャゴチャしないとか、子供の様子を見ながらこれまでの経験を動員してその場に応じてアレンジする。
・ 千住真理子のコンサートは子供向けにやっているけど子供用にアレンジはしていない。騒ぐなら騒いでも良いというスタンスで。
・ 自分は保育者だったが、保育士でも「手をたたきましょう」のようにはできるので、せっかくならクラシックらしいのを聴きたいということはわかる。
・ 一瞬の出会いであっても「ホンモノ」に接したことは子供達にのこる。
・ 行動規制のためではなくその世界を楽しむために「おもちゃのチャチャチャ」
をやりたいとも思う。
・ クラシックの専門性に対して幼児教育の専門家がどのように関われるか。
佐伯先生:子供を見くびらないというのが大切。子供の理解力を信頼する。何らかの媒介は必要だけれど、子供の理解力は大きい。
子供と一緒に音楽を創る。作品創りに参加させる。鑑賞の場面もある。そうして音楽を創る。演奏するだけでなく一緒に創る。レッジョエミリアの例。



発表2 養護教諭の学校内機能について
養護教諭の学校内のコーディネーション機能に関する研究
学校管理職へのインタビューの分析から、学校保健活動を進める上での教護教諭に期待される機能について考察した。管理職は養護教諭を学校保健活動を進める上でのコーディネータ、中核として認識しており、その機能が十分に発揮されるようにバックアップを行っていた。
このバックアップは教職員・校外の学校関係者全体の関与によって成立しており、学校保健活動における養護教諭のコーディネーション機能は社会的な達成であることが示唆された。

○ 養護教諭とは:
養護教諭は何する人?
明治時代に学校医が置かれ,数年後に看護師がおかれた。ここまで明治。
そして名称が養護教諭となって,教育職に位置付けられた。
学校の中だけでなく関係機関との間でコーディネート機能が期待されている。

○ 特別支援学校に通う児童生徒の発育の特徴:
病気をしやすい、感染症対策に力を入れる。
精神年齢と生活年齢に差が大きい。
環境が整うと登校意欲が大きくなる。
小さな時から苦労の大きい育ち方をしている。
集団活動を生かした教科学習(バレーボールなど)、部活動、朝練もある。
親への支援が大切と思ってこの研究を始めた。

○ 学校保健活動、
児童生徒の保健と発育に関すること。
学校の保健安全への配慮。
生徒自らの健康維持をはかる能力を育成する。

○ 管理職へのインタビュー調査から次のことがわかった。
管理職は
→ 養護教諭の環境・ひととなり・仕事振りの把握。
→ 管理職が学校保健活動の意義とその活動の企画を教職員に周知。
→ 養護教諭を学校保健活動の中核として位置付け,コーディネータ機能をバックアップ。

○ 養護教諭が中心となって進めている学校保健活動の記録から副校長にインタビユーした。
副校長の動き、バックアップ行動に注目した。
記録を振り返って特別支援学校を通して養護教諭になってきたのだと思った。
養護教諭としての社会的達成。

○ 「養護教諭」は一つの免許だが、小中高特別支援学校で役回りが少しずつ異なる。
教員が自分の健康について相談を受ければ応じるが、こちらから問うことは控える。
健康に関する専門家である。
看護師からなれる。
教育実習もある。
保健師から養護教諭になる場合もある。
看護師の免許を取りながら養護教諭をとることもできる。
教育がバックグラウンドの人と、看護師バックグラウンドの人がいる。
臨床経験があれば養護教諭としては強いかもしれない。

発言:学校の中にホンモノがいるということ?
ここで,教員免許を得てすぐに教員になった人と,教える内容について専門職についてから教員になった事例について,出席者の体験からからいくつかの事例が紹介された。

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研究協議の後は立教大学至近にある「セントポールのとなり」で懇親会開催。
台風が心配されたが,ここで議論の続きを行った。

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2012-09-26

航海訓練所研究発表会(第12回)

独立行政法人 航海訓練所の第12回研究発表会に参加し,9本の研究発表を聴いた。


開会挨拶 理事長 飯田敏夫氏
航海訓練所は実習生に対する教育訓練、練習船の運航と維持管理を行なうとともに、船員教育訓練・船舶運航技術ならびに国際条約に関する調査研究を行なっている。
所外諸機関との共同研究も進めており、本年は独立行政法人化後12回目の研究発表会開催となった。今回はSTCWマニラ改正に関わる研究を中心に9本の発表を行う。これらの研究に対して忌憚のないご意見をいただきたい。


発表1  救命艇降下揚収作業実習の訓練効果の向上を目指した新たな試みについて
-リスクアセスメント手法を応用した新たな試みについて-
SOLAS条約要件(5分以内に進水させるように積み付けること)
船舶救命設備規則(振出し及び降下を安全かつ迅速に行えること)

船舶職員には救命艇を迅速に降下させる能力が求められる。

リスクアセスメントを応用した手法により実習生に救命艇降下作業要領を改善させる訓練を実施した。
リスクアセスメント手法(risk assessment:リスクの大きさを評価し、そのリスクが許容できるか否かを決定する全体的なプロセス)

(1)本船で定めている「救命艇降下作業要領」を習得させた。
(2)リスクアセスメントについて講義を行った。
救命艇降下実習を行い、その内容に対してリスクアセスメント手法により作業要領を改善させた。
(3)教官によってさらに作業要領を改善し救命艇降下作業を実施した。

知っている知識からできる技術の習得に繋げる。

【感想】
救命艇降下作業の改善を実習生に考えさせ、改善した作業要領を実際に行って評価することは、救命艇降下実習を「やらされる実習」から実習生の主体的な学習に転換したものとして興味深かった。
学習環境デザイン研修講座(横浜国立大学有元典文教授が提唱するRISP(Reality, Identity, Significance, Participation))の考え方とも通底するものがある。


発表2  ECDIS訓練教材の作成及び訓練手法の研究
ー簡易航海情報記録システムの開発ー
ECDIS(Electric Chart Display and Information System)
STCW条約マニラ改正(2010年)によりECDIS訓練が義務化された。
当所練習船に適するECDIS教材を作成し、訓練・実習を行なって効果を評価検証した。
船橋に1台設置しているECDIS実機では多人数の実習を行えないので、教室でデータを再生できるように簡易公開情報記録システム及び簡易公開情報再生システムの開発を行った。
この教材による授業は条約が求めるECDIS訓練としては認められないが、
①多人数教育に対応できる
②航海士がコースラインの作成・改補を行なって再生できる
③航海当直のレビューを行なうことができるなどの効果がある。


発表3  効果的な航路見学手法に関する研究
航路の学習は実船の航行や操船シミュレータなどを用いて各船で相当の取り組みをしてきた。
タブレットPCやスマートフォンの普及によりこれらを用いた教材を開発すれば、場所・時間の制約にかかわらず自学自習できる。
タブレットPCに導入することを最終目標として来島海峡航路航行の事前学習ソフトを開発した。

【感想】
視聴覚教材の開発は、(スライド、OHP、TV、ビデオ、PC、プレゼンテーションソフト、動画編集ソフト)など視聴覚機器の発展と関わりが深い。特にタブレットPCは持ち運びに便利でほとんど瞬時の起動ができるなど、教具としての発展性が大きい。教室への普及も進むものと思うが、同時に教材の開発も大きな課題である。


発表4 船舶共同通信システムに関する研究
-Class D 国際VHFの現状と、実習訓練への応用可能性-
国際VHF:義務船舶局では必ず設置されているが、漁船やレジャーボートなど非義務船舶局では法的搭載義務がない。
商船と漁船・レジャーボートの間では国際VHFは危険回避の通信が困難だった。
大型船と小型船の共通の通信システムがないことが衝突事故の原因となっている。
電波法改正(H21)で船舶共通通信システムが導入され、比較的簡易に特定船舶局の免許が可能になった。
これらを踏まえ、国際VHFクラスDの現状を、漁船の現状、海岸局、マリーナなどの船舶局について調査を行った。
また、国際VHFシミュレータを利用した実習を行った。

DSC機能:Digital Selective Calling(デジタル選択呼出し装置)


発表5 ERM訓練の訓練評価方法に関する予備調査の実施について
STCW条約マニラ改正(2010年)によりERM訓練が強制要件となった。
ERM実習訓練の評価シートを試作し、予備調査を実施した。(各能力要件が達成できたかどうかの評価)
ERM能力要件及び評価基準を4項目に分類しているが5項目を追加した。
① チーム形成・維持(コミュニケーション)
② 意思決定
③ 情報の理解・共有
④ 状況認識力
⑤ 技術的技能(追加)

発表6 インストラクタの視点によるERM訓練評価方法の検証について
ERM訓練の訓練評価方法に関する検証(評価の難易度、労力、評価可能な頻度)を行った。
各実習において、適切に評価が行えるか、評価する場面が充分にあったかなど。
教えることと評価することの境界がわかりにくいなどの課題がある。


発表7 Engine-room Resource Management の基礎教育について
ERM義務付けに対応するため当所においてもカリキュラムの見直しや訓練方法の検討を行なっている。
実習生にERMの基本知識(①ERMとは何か,②構成要素は何か,③どのような訓練か)と訓練への動機づけを行なうための取り組みを行った。

【参考】
ERM(Engine Room Resource Management)およびBRM(Bridge Resource
Management)
航空業界のCRMから医療現場に、そして船舶(BRM,ERM)に拡張されてきた訓練方法である。航空業界は危機管理に対する研究が長年にわたって行われており、その内容も進んでいる。
最近では航空業界から始まった「CRM」という訓練方法が、医療におけるリスクマネジメントにも取り入れられてきている。
(注)CRMとは:Crew Resource Managementの略語で、『安全運航を達成するために、操縦室内で得られる利用可能な全てのリソース(人、機器、情報など)を有効かつ効果的に活用し、チームメンバーの力を結集して、チームの業務遂行能力を向上させる』というものである。
平成12年4月から、国内で運航を行う全ての航空会社のパイロットに対してCRMに関する訓練が義務付けられた。


発表8 データベースソフトを活用した業務効率化に関する研究
東洋エンジニアリング株式会社が開発したKBW(Knowledge Bank Web)を機関部整備作業の管理に供することが可能かどうかの検証を行った。
熟達者から初心者への技術の伝承が困難になってきている。
整備作業・保全作業において機械の様々な状況から故障原因や過去の整備記録を参照する技能は暗黙知に属することが多い。
このソフトウェアは「キーワード1画面法」と呼ばれる手法によって過去の記録を検索可能である。
1船独自でなく船隊全体での共有が望ましい。


発表9 機会部品に生じた亀裂部の補修材修理の事例について
-雑用・制御用空気圧縮機エアクーラに生じた亀裂部の修理-
制御空気圧縮機のエアクーラの亀裂を「ポリウレア樹脂塗装膜施工」によって修理した。
エアクーラには伝熱面積を大きくするためのフィンが多数取り付けられている。
そのため、亀裂部を溶接によって修理することは極めて困難である。
従来は遊園地などのアトラクションの防水加工に用いられていたポリウレア樹脂を機械に適用した。
腐食甲板、タンクトップ、ビルジハットなどの補修にも有効と考えられる。


閉会挨拶 理事 神田一郎氏
実習訓練と船舶の維持管理業務を並行して行いながら、練習船の教育訓練・船舶
の管理及び運航技術・海上労働・船員の健康、国際条約であるSOLAS、STCW条約
関連(BRM、ERM)などに関して当所独自の研究や所外諸機関との共同研究を行い、
年に一度の研究発表会を実施している。実習手法、評価手法も研究するようにな
ってきた。今年は発表がやや少なかったが、今後さらに充実させたい。
自然環境の中で船酔いを克服しながらの実習は、教官だけでなく自然環境が教え
てくれていると実感している。


2012-09-02

水中ロボットコンテスト

海洋研究開発機構で開催された「水中ロボットコンテスト」高校生部門に,専修ヒレ推進コンテストに出場したチームが参加した。
あらかじめ用意されていた塩ビ管と制御装置,プロペラなどのキット(アクアモデラーズの皆さんが開発した)を組み立て,潜水訓練プールに設けたコースを周回した後に空き缶を回収する競技だった。

岡山からの参加もあり,6チームで技を競ったが本校は機体制御系のトラブルがあって予選敗退した。
しかし,水中ロボコンへの興味がふつふつと沸いてきて,今後の課題研究の良いテーマとなりそうだ。






2012-08-25

第6回ヒレ推進コンテスト

横浜国立大学で第6回ヒレ推進コンテストが開催され,本校から2チームが参加した。
これまで4回出場したが,その中で2チームとも最も良いタイムを記録した。(17秒/10mおよび19.6秒/10m)。 決勝トーナメントで思わぬトラブルに見舞われ,三位決定戦にも敗退したが,予選を含めた記録では3位と4位だった。



2012-08-07

学習環境デザイン研修講座

横浜国立大学と神奈川県立総合教育センターとの連携講座『学習環境デザイン研修講座』に参加した。講師は横浜国立大学教育人間科学部教授の有元典文先生で、2006年の夏以来7回目の受講となった。

受講希望者は年々増えており、今年は県内の小・中・高および特別支援学校から50余名の教員が集まった。

 本日のテーマ:「学習環境のデザイン」とはどういうことか理解し実践に役立てる。
 今日の研修をより深く理解するための6冊(新しい順に):
  1. 有元典文他『ワードマップ 状況と活動の心理学』新曜社,2012年
  2. 茂呂雄二他『社会と文化の心理学 ー ヴィゴツキーに学ぶ』世界思想社,2011年
  3. 有元典文・岡部大介『デザインド・リアリティ』北樹出版,2008年
  4. 海保博之他『文化心理学』朝倉書店,2008年
  5. 加藤浩・有元典文他『認知的道具のデザイン』金子書房,2001年
  6. Jean Lave,Etienne Wenger(佐伯胖訳)『状況に埋め込まれた学習――正統的周辺参加』産業図書, 1993
学習とは:できなかったことが経験や練習によってできるようになること。 常に変わり続けるのが人間である。
本来はひ弱な動物(走力、跳躍、夜間視力、嗅覚・・・)である我々人間が、熱帯から極寒の地まで生存可能なのは、我々が学習する動物だから。
【生まれたての馬の動画】
馬は生まれて数時間したら自分で歩くようになる。だれかに立ち方歩き方を教わることもない。

人間が生きてゆくためには学習が必要だである。。
学習=可能性とも言える。

動機の高まる4項目
  • R(ほんもの)Reality:現実性がある。
  • I(たしのこと)Identity:自分のこととして取り組めるか。⇔(NIMBY)
  • S(ちのあること)Significance:意義をどれだけ伝えられるか。
  • P(かまになること)Participation:参加する。
学習は,「何かをできるようになりたい」という【内発的動機づけ】によっておこなわれる。
学校でおこなわれることだけが学習なのではない。
【動機のわかない授業】
単なる頭の中の智恵だめし
自分の生活とかかわりのない課題
社会的価値がわからない
共に取り組む仲間がいない

【観察のツール】
問題を出して答えを出してください(ひとりで黙々と取り組む)
共同で学習させる
これらは学習環境をデザインしていること。

「ある学び方」を子供にさせているということに自覚的にる。

【人の「学習」の特性】
チンパンジーと人の学習の比較。
人の学習は模倣的,slavishである。
人は先生に従う。教えられたとおりにやろうとする。
教えられたことに忠実である。
チンパンジーは互いに教えあわない。

どのような指示を与えるかで子供の学び方はかわる。

【社会的分散認知】
行動は社会的、文化的状況とのセットで成り立つ。
人間の本質はひとりひとりの個人に内在する抽象物ではない。現実には人間の本質は社会の諸関係の総体(アンサンブル)である。マルクス

【内発的動機付け】
その動機が引き起こす活動以外の賞に依存しない動機づけ。
学習環境のデザイナー、教育場面をデザインする
【発達の最近接領域】
ZPD(Zone of Proximal Development)
ヴィゴツキーの教育観
zpdをあざ笑うことは教育ではない。できるように手心を加える。発達をみんなで作る。→これすてきだ! 赤ちゃんが大人の会話に加わって喃語を話せば、大人はその赤ちゃんと「美味しいね」「そうだね!」などと会話している。
赤ちゃんがつかまり立ちして歩けば「歩いた、歩いた」と言って皆で喜ぶ。「歩いたことにしているだけだ」とは決して言わない。
これらはzpdである。そのzpdをまわりから支えることで子供は発達する。
【レイブとウェンガー】
「状況に埋め込まれた学習」
学習は頭の中の獲得ではない。
学習とは参加である。

2012-08-06

花毛布練習会

 明海大学ホスピタリティツーリズム学部の上杉研究室を生徒とともに訪ねた。同学部の大学生が9月にビッグサイトで開催される”旅博2012”に出展して花毛布の実演を行うので,その練習に便乗させてもらった。

今回は,孔雀,羊などこれまで折ることのできなかった作品の折り方が判って参考になった。

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孔雀


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コブラ

2012-06-18

エデュネット勉強会

青山学院大学で開催された「第三回エデュネット勉強会」に参加した。今回の講師は青山学院大学教授の佐伯胖先生(東京大学名誉教授)で,認知心理学の立場から『博物館とは何か~原初的対話世界を取り戻す~』という題目でご講演をいただいた。

今回の講演内容は,博物館や美術館などの役割,「もの」との対話などについて佐伯先生のお話を伺うという趣旨で企画された。

以下,講演中に取ったメモから。
*********************************

博物館・美術館:保存する役割と人に出会わせる役割
人類の思考は絵を通じて行われてきた。考えることの媒体は絵だった。
アルタミラの洞窟の壁画:約18000年前に描かれ、その4000~5000年後に描き加えられた。
ラスコーの壁画:約15000年前に描かれた。遠近法が使われている。
日経新聞22年2月19日、素晴らしい絵を書く子供が、言葉を話すようになると稚拙な絵を描くようになる。という記事があった。
ショーヴェ洞窟の壁画:アルタミラ,ショーべよりさらに古く,約30000万年前の巨大な壁画。人類は文字以前にそれだけ長い時間絵と付き合っていた。
牛のような絵、足が8本あり,走っている姿をを表している。
本来獰猛な動物が優しい表情で表されている。
フクロウの絵が入り口に向かって挨拶するように。スピリチュアルな場所なのか?

人類の文字らしきものは紀元前3000年から。これに対し,数万年前から歌もあったようだ。
文字や数字で考えるようになるまで、人類は絵を媒介として思考してきた。

文字的思考と絵的思考。
絵:統合から分析へ
文字:分析から統合へ

絵は意味を一義的には固定しない。しかし,視点が定まると見え方が固定される。
rubinの壷
ネッカ-の立方体
嫁と姑
THE CAT
文脈効果

生後10週目、人類は自分の手を結んで開いてじっと見る。『メーヌ・ド・ビランの世界』

コビト論(佐伯胖) わたしはいくつもの「わたし」に分かれて、世の中のありとあらゆる世界に潜入し、その分身としての「わたし」(コビト)が対象世界の制約の中でかぎりなく「活動」し、「体験」し、そのようなコビトの多様な「体験」が統合されたとき、わたしは世界を「納得」する。

コペルニクス革命:人類を地動説から解放したのではなく,太陽から見た天体のパノラマの方がコペルニクスにより大きな満足を与えた。M.ポラニー「個人的知識」論
アインシュタインの相対性理論:私は光の中で光とともに走っている。
『Powers of ten』部分から全体へ,全体から部分へ,さらに細部へ分析的に。視点が変わるともののとらえ方も変わる。

EvaluationとAppreciation
作品の世界に入り込む
まず作品を味わうことが美術館の意義
鑑賞{Appreciation}を重視してほしい。
「包囲型」と「湧き出し型」
日本語は包囲型
→「きのう太郎が次郎を学校で殴ったことを花子は知っている」:統合的

英語は「湧き出し型」
→「Hanako knows that Taro puched Jiro at the school yesterday.」:分析的

多様な視点から観ることによって,そのモノの本質的な制約や境界が次第に内側から見えてくる。

見せる側と見る側の分離
見る側は見せてもらうという受け身にならざるを得ない。
感想を述べさせるーーー視点を固定することにつながる。
「もの」とはーーー何かをアフォードする外界。
私たちが世界と原初的に対話する時、世界がアフォードするものを受け止める。

あらゆるものになってみるということ
物事が真実としてわかるということは?
負の才能、negative capability 何者でもなくいられる力,何者にでもなりうる,半解の知
文科省は「言語活動の充実」→言葉で表現させることを推進しようとしているが,それは怖いことだ。
半解、こうだとも言えるしああとも言えるーーー何だろうなぁーーーという状態。
わからなさのすごさ、半解の知、博物館美術館を学校にしないでいただきたい。

美術館・博物館でやって欲しいこと
参加者に何らかの「変化」を与える。 ○ 視点を変える
○ 証明や周辺環境を変えてみる
○ 「包囲」と「湧き出し」の視点活動を誘導する

やって欲しくないこと
「学校」にしない。「参加者一般」というまなざしを向けない。
○ 知識を注入したり,クイズを解かせたりしないでほしい

「子供にピラミッドを上から見たらどうなる?」と質問すると答えられない。
しかし,「ピラミッドを粘土で作って上から見たところを想像してごらん」というと答えられる。

ものの見方を変えてかかわり方を変えることで,見方が深まる。

赤ちゃんの認識:見ることと触ること→子供たちにとっては同じこと。

真実に迫ることが大切なのであって,エンターテインメントになってはいけない。
歴史をたどってみる。などのとき,要所ごとに知識はあったほうが良いが,あらかじめ用意したのでは本人が自由に「湧き出す」ことはできなくなる。

イタリア,レッジョ・エミリア:子供が「やっている姿」を記録し,それを子供たちと一緒に見る。見せ方の演出。子供は自分がやっていることを鑑賞できる。子供に見る視点を誘発することができる。
子供の中に生まれつつある「良さ」を一緒に味わう。はじめから与えるのでなく,子供がとらえた端緒は始まり。モノとの対話を援助する。

「教えよう」というウラ心を捨てよう。「一緒に味わう」ことに徹しよう。博物館の人も味わい合い,新しく発見する。教えるのでなく自分も楽しむ。それがMuseun Educatorの役割であり,そこに professionality がある。

湘南丸帰港

実習船湘南丸が遠洋航海から帰港した。4月21日に三崎を出航してから58日の実習航海を終え,無事に予定通り三崎港に着岸した。

本科実習生と専攻科実習生合計44名は,航海実習に加え資源調査のための鮪延縄漁業実習,ホノルルではハワイ大学の特別講義の受講など密度の濃い実習を行った。

家族と職員の出迎えに対し,実習生は登舷礼を行った。無事に着岸したが税関検査と入国審査があるため,着岸後2時間くらいは本船に出入りできない。

専攻科生は明日からも実習が続くが,本科生は数日の休暇の後学校での授業が始まる。


水も燃料も消費してかなり喫水が上がっている。


左舷通路にはコンベヤがあるので必ず右舷を接岸する。


出迎えの家族と職員に対して実習生は登舷礼を行う。