2012-08-07

学習環境デザイン研修講座

横浜国立大学と神奈川県立総合教育センターとの連携講座『学習環境デザイン研修講座』に参加した。講師は横浜国立大学教育人間科学部教授の有元典文先生で、2006年の夏以来7回目の受講となった。

受講希望者は年々増えており、今年は県内の小・中・高および特別支援学校から50余名の教員が集まった。

 本日のテーマ:「学習環境のデザイン」とはどういうことか理解し実践に役立てる。
 今日の研修をより深く理解するための6冊(新しい順に):
  1. 有元典文他『ワードマップ 状況と活動の心理学』新曜社,2012年
  2. 茂呂雄二他『社会と文化の心理学 ー ヴィゴツキーに学ぶ』世界思想社,2011年
  3. 有元典文・岡部大介『デザインド・リアリティ』北樹出版,2008年
  4. 海保博之他『文化心理学』朝倉書店,2008年
  5. 加藤浩・有元典文他『認知的道具のデザイン』金子書房,2001年
  6. Jean Lave,Etienne Wenger(佐伯胖訳)『状況に埋め込まれた学習――正統的周辺参加』産業図書, 1993
学習とは:できなかったことが経験や練習によってできるようになること。 常に変わり続けるのが人間である。
本来はひ弱な動物(走力、跳躍、夜間視力、嗅覚・・・)である我々人間が、熱帯から極寒の地まで生存可能なのは、我々が学習する動物だから。
【生まれたての馬の動画】
馬は生まれて数時間したら自分で歩くようになる。だれかに立ち方歩き方を教わることもない。

人間が生きてゆくためには学習が必要だである。。
学習=可能性とも言える。

動機の高まる4項目
  • R(ほんもの)Reality:現実性がある。
  • I(たしのこと)Identity:自分のこととして取り組めるか。⇔(NIMBY)
  • S(ちのあること)Significance:意義をどれだけ伝えられるか。
  • P(かまになること)Participation:参加する。
学習は,「何かをできるようになりたい」という【内発的動機づけ】によっておこなわれる。
学校でおこなわれることだけが学習なのではない。
【動機のわかない授業】
単なる頭の中の智恵だめし
自分の生活とかかわりのない課題
社会的価値がわからない
共に取り組む仲間がいない

【観察のツール】
問題を出して答えを出してください(ひとりで黙々と取り組む)
共同で学習させる
これらは学習環境をデザインしていること。

「ある学び方」を子供にさせているということに自覚的にる。

【人の「学習」の特性】
チンパンジーと人の学習の比較。
人の学習は模倣的,slavishである。
人は先生に従う。教えられたとおりにやろうとする。
教えられたことに忠実である。
チンパンジーは互いに教えあわない。

どのような指示を与えるかで子供の学び方はかわる。

【社会的分散認知】
行動は社会的、文化的状況とのセットで成り立つ。
人間の本質はひとりひとりの個人に内在する抽象物ではない。現実には人間の本質は社会の諸関係の総体(アンサンブル)である。マルクス

【内発的動機付け】
その動機が引き起こす活動以外の賞に依存しない動機づけ。
学習環境のデザイナー、教育場面をデザインする
【発達の最近接領域】
ZPD(Zone of Proximal Development)
ヴィゴツキーの教育観
zpdをあざ笑うことは教育ではない。できるように手心を加える。発達をみんなで作る。→これすてきだ! 赤ちゃんが大人の会話に加わって喃語を話せば、大人はその赤ちゃんと「美味しいね」「そうだね!」などと会話している。
赤ちゃんがつかまり立ちして歩けば「歩いた、歩いた」と言って皆で喜ぶ。「歩いたことにしているだけだ」とは決して言わない。
これらはzpdである。そのzpdをまわりから支えることで子供は発達する。
【レイブとウェンガー】
「状況に埋め込まれた学習」
学習は頭の中の獲得ではない。
学習とは参加である。

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