1. 白石ユリ子『海洋生物資源が地球を救う ~日本の姿を,子供たちに伝えたい~』
NPO海の国・日本 理事長
ウーマンズフォーラム魚代表
子供たちに日本の魚食文化を伝える活動の紹介。日本では5キロメートルにひとつづつ漁村があり,その数は6000を超える。このような国は他にはなく,奇跡のような財産である。
世界で6番目に広い海と4番目に多い海水を持つ日本は、海洋生物資源の宝庫だが、現在では大手水産会社は漁業・水産業から撤退し、沿岸では漁師が激減している。世界の147カ国から魚を輸入していてその輸入額は2兆円。それに対して石油の輸入は4兆円。消費者は輸入魚を消費し、子供たちは魚の姿を見ないで育っている。
日本人の生活様式が変化し、魚食文化が継承されなくなっている。世界の国々はその国の風土に合わせた食文化を持っている。我々日本人が魚食文化を次代に伝えなければ、我々は日本人でなくなってしまうのではないか。
日本はこれから資源大国になる可能性すらある。ないものを嘆いていてはなにも始まらない。世界で魚食の国は17パーセントである。あとは肉を食べている。この先、世界的な食糧難となったとき、魚食文化を持つ我々が世界をリードするべきだろう。
2.加納義彦『水族館の役割』
名古屋みなと振興財団
元名古屋港水族館職員
日本にある水族館は68館。これは日本動物園水族館協会所属の館の数である。1年の来館者は3200万人くらい。経営母体は、国公立、財団立、学校立、私立など。
水族館は・・・博物館?テーマパーク?研究施設?日本人は水族館が大好きである。JAZA加盟館68。アメリカ動物園水族館協会所属は37館しかない。日本は魚に対する親しみが深い。
水族館とは・・・ 三つの重要な役割、1:楽しいところ、2:教えてくれるところ、3自然にやさしくしたくなる。 Entertainment,Education,Ecology
名古屋港水族館紹介 総水量3万トン、年間180万人来館、水槽120
飼育生物:鯨類、鰭脚類(ききゃくるい:アザラシの仲間)、鳥類(ペンギンのみ)、爬虫類、魚類、無脊椎動物(えびかにくらげ他)、5万点。
南館 日本の海、黒潮大水槽、かつお・マグロ・さめの展示。日本の海を語る上ではずせない黒潮、干潟などの展示。
深海、海溝に囲まれている。日本と深海は切り離せない。深海の生き物。
赤道の海、さんご大水槽、熱帯の海を再現。
海がめの水槽。日本に産卵にやってくるアカウミガメは、最も北で繁殖する。それ以外はすべて日本より南で繁殖する。
オーストラリアの水辺:南極観測船の最後の寄港地。名古屋港水族館唯一の淡水槽。
南極の海、ペンギン水槽。水温6℃、気温2℃を保っている。
愛知県近くの磯場を再現したタッチタンク。
教育普及:人は何を大切にするのか。人は知らないものを大切にはできない。まず知ること。そのために教育普及が原動力となる。
学校教育支援(子供向け):「君もドリトル先生になれるか」年間28回実施。
MAREプログラムの導入。MARINE ACTIVITIES Resources and Education
生涯教育支援(大人向け):「解説ボランティアの活動運営」
展示解説は水族館の生命線。ボランティア活動を運営する上でのキーポイントはボランティアに楽しんでもらうこと。ボランティアは実体験が重要である。展示しているものの解説、その館の姿勢を問われる。年間13回以上の研修を行ってボランティアに参加してもらう。子供はウニやヒトデを生き物と思っていないので、タッチタンクでボランティアが子供にそのことがわかるように働きかける。そのためにはボランティア実体験を持たなければならないのでボランティアにも実際の磯で研修する。
ボランティア活動は、ボランティアにとっては生きがいだが、施設にとっては強力なバックアップ。
「海辺の生物観察会」
海は海水浴だけではない:都会において最も近い海=港
名古屋港水族館:名古屋港にある、名古屋港を管理している団体が作った、物流、生産、防災、交流機能が備わっている。
港=海と捉えた博物館、名古屋海洋博物館というのもある。水族館の対岸にある。
3.三輪哲也『海の友達に会いに行こう』
海洋研究開発機構海洋工学センター
海洋技術開発部グループリーダー
横浜私立大学大学院生命ナノシステム科学客員教授
温暖化観測、地震の原因解明、海洋生物の研究、海へ行く道具を開発する。
しんかい6500、20年使っている。海の不思議な生き物を探す。世界でもっとも深く潜れる有人潜水艇。
表面の海水温度は気象に大きく影響する。今年は日本の回りの海水温は高かった。深海もゆっくりだが温暖化してきている。
1970年から20年くらいは深海の温度はほぼ一定だったが、その後徐々に温度が上昇してきている。海水温が高くなると、溶存酸素が減少する。 100年後には日本海の溶存酸素がなくなるという計算もある。
今のうちに深海の研究をしなければならない。 深海の不思議な生き物、笑っているように見える半透明な生き物、口を開いたり閉じたり。
光の不思議(深海は真っ暗なのか)
実は真っ暗ではない。100メートルもぐると光の量は100分の1になる。太陽光、10万ルクス、これが100メートルもぐると1000ルクスある。部屋の明るさ300ルクス。200メートルくらいの深海は意外に明るい。月明かりは1ルクス。暗くなると植物が育たない。
深海の魚たちは植物プランクトンのある層より下にいる。上を向いて餌を食べる。
カウンターシェーディング、光ることによってかくれる。ホウライエソ。
深海では目がよくないと見えない。暗いから目が退化するのではなく、よく見えるために目が発達している。深海の魚はまっすぐ立ているものが多い。影をなるべく作らないため。下から襲われないように立った姿で浮いている。
デメニギス:真上を観る。頭が透明。前を見たり上を見たりする。生きたまま捕まえて来れないので研究が進まない。
深海では無脊椎動物が多くいる。
イルカ鯨などの哺乳類、152種類。日本近海で。 脊椎動物3790種類、わかっていないのが364種類。 無脊椎動物、1314種類わかっていてわかっていないのが150000種類くらいある。 5000メートルの深海、魚が1列で餌を探す。なぜ1列かというと、見えないから匂いで先の魚を追う。
深海の魚は、浮力をバランスするための浮き袋を持っていない。空気がないから。脂肪でバランスをとる。たんぱく質、骨。
人間は4000メートルもぐると細胞が破壊される。深海の生き物は遺伝子レベルで進化してきた。
海底火山、日本海溝年間7センチ動いている、南海トラス年間3センチ動いている。
地震が起きる場所、火山があるところに生き物がいる。
ブラックスモーカー、チムニー、ハオリムシの仲間がいる。
300℃の熱水が噴出している。
チューブワーム、内臓のない動物、心臓とエラだけしかない。光合成と同じようなメカニズム。光の変わりに硫化水素を使う。微生物の助けを借りている
。 新型水中ロボットを作っている。開発中。名前を募集している。
世界に23万種の海洋生物、日本には14.6パーセントいる。
4. さかなくん『わたしとさかな』
東京海洋大学客員准教授
どうして魚が好きになったか。どういう活動をしているか。
子供のころはトラックが大好きだった。トラックのライト、バンパーなどに生き物をなぞらえていた。トラックの絵ばかり描いていた。友達が描いたタコの絵を見て、興味を持った。
奥谷喬司先生のタコの図鑑ばかり見るようになった。イイダコを買ってきて、吸盤の数を数えたりしていた。きたタコを見たくなって、水族館に通うようになった。江ノ島水族館でタコを見てタコの絵を描いた。5-6歳のころ。
イイダコ、茹でたのを描いた。
初恋の魚、ウマズラハギ。 魚の図鑑だと横から見た絵しかないが、正面から見た姿を水族館で初めて見て感動した。
東京湾の魚を見て絵を描くようになった。 館山に住んでいる。東京湾の魚の数、1000種類くらいいる。研究者の調べたのと私が調べたのの合計。
赤マンボウ、竜宮の使い。一度でよいから見てみたいと思った。
高校生のとき。テレビチャンピオンの魚通チャンピオン選手権に出場した。高校3年のとき。千葉県銚子の市場、そこに赤マンボウがいた。2メートルくらいあった。クイズの第1問、マグロのような魚の赤身だった。どんぶりを完食、赤マンボウのところに行った、赤マンボウと答えて正解だった。白身の魚と思っていたのに赤身だった。そのときに飛び跳ねて喜んだ。そのとき以来、感動したら飛び跳ねても良いと思うようになった。
ハタタテヌメリ、日本魚類学会の先生方、水族館の人も、魚類学者もいる。学会発表がある。そのとき、さかなくんも魚類学会に入りたいと思った。一昨年、東京海洋大学で学会があったとき、学会パンフレットの表紙の魚の絵を描いた。東京湾の魚がよいので、ハタタテヌメリを探した。本牧の漁師さんに頼んで、鈴木さん漁師暦50年以上の鈴木さん、ハタタエヌメリ、現地ではヒゲネズ(ヒゲのあるネズッポ)がとれた。熱帯の鳥のような鮮やかな色彩。釣り人は外道といって喜ばないが、それが取れた。メスよりオスのほうが美しい。
クニマスの絵を描くことになった。京都大学の博物館で標本を見て描いた。オスもメスも描いた。クニマスの標本、何十年も前の標本。絶滅したと考えられている。ヒメマスが近い主だというアドバイスをもらった。昨年3月、ヒメマスは手に入りにくい季節、山梨県、西湖で漁協の人から時々ヒメマスが取れるというので連絡取ったら送ってくれた。しかし、色彩が違う。ヒメマスではないと思う。疑問に思った25センチくらい。ひれも違う。クニマスではないかと思って中坊先生に連絡を取った。中坊先生研究された。それで、クニマスと確認できた。中坊先生から絵を描くことを依頼されたおかげでこのことがわかった。
魚の絵を描くことがすき。定置網の中に魚が入る。網の中に入る魚も出て行く魚もいる。6~7割くらいは出て行く。とり過ぎない漁法になっている。魚が誘われるようになっているが環境との共生ができる漁法である。
水族館も、定置網から魚をもらうこともある。定置網は魚を傷つけない。
小島義男と一緒に定置網漁に行った。小島義男と仲良し、彼は魚検定3級取った。
イシガキフグ水槽の中で泡が出るところによってくる。エラやひげのところに泡を当てる。八景島でも、魚がエラのところに泡を当てている。沖縄に行った。マンタがたくさんいる石垣島の海に潜った。マンタを驚かせたらいけないと言われた。マンタのほうから寄ってきた。ダイバーの泡をマンタが口に入れて遊ぶ。口に泡を入れてしばらくしたらだす。みんな同じようなことをする。泡を飲み込むだけでなく,うがいのようなことをして、喉の奥にあったかすのようなものを吐き出していた。それをオニタマケイが食べていた。
マンボウ、ふぐの一種。マンボウと一緒に泳ぐ機会があった。3-4年前、宮城県南三陸。マンボウが海面で昼寝をしている。近づいた。目をパチパチしていた。マンボウは魚には珍しく目を閉じることができる。マンボウの昼寝は不思議。図鑑を見てもその理由はわからない。高校生のときテレビチャンピオンに出て以来の師匠に訊いた。海面で太陽の光を浴びて体を温めている。深海でいろいろなものを食べて、海面で体温を温め、飛び上がって海面に落ちるときに寄生虫を払ったり、海面で鳥が寄生虫を食べてくれたりする。卵を3億個くらい生む。
世界で一番所おきなジンベイザメ。
赤マンボウの仲間の竜宮の使いも時々漁師の魚にかかる。
岩手県のモグランピア、定置網で取った魚をモグランピで飼っている。
バショウカジキ、飛び跳ねて危ない。
北限の海女、岩手県の久慈。
南三陸、カジカ君、魚君、写真家の3人で潜った。
いのししを可愛くしたような魚、クチバシカジカ。5-6センチの魚。日本にはいないと思われていたけれどいた。孵化する直前になると卵が白くなる。 3月11日の地震で研究者たちの卵と稚魚は海に帰ってしまった。 モグランピア壊れてしまった。 モグランピア、アオウミガメのカメキチ生き残って、別のところに疎開している。
海が豊かな日本、森や林から運ばれた栄養による。
質問)ヨミノアシロはどうして目がないの?
JAMSTEC)光があまりないので目が必要なくて小さくなった。
質問)なんでヒトデは星のかたちなの
さかなくん)ヒトデ、なまこ、ウニ五角形を基準にしている。五本の腕がある。それで上手に暮らしている。謎が多いですねぇ。
質問)テレビチャンピオンにさかなくんが出ているころからのファン。今の夢や目標は?
さかなくん)たくさんの魚の絵を描きたい。しんかい6500に乗りたい。
質問)世界で一番魚がいる国は?
さかなくん)日本はとても多いということがわかった。でも、自分の国にどれだけの海洋生物があるかしっかり研究が進んでいない国もある。
JAMSTEC)現在ではオーストラリアですね。
5. 赤嶺正治『船の博物館』 日本郵船歴史博物館館長代理 海洋地球研究船「みらい」元船長 博士(工学) 海洋地球研究船「みらい」は元の原子力船「むつ」である。着任したときにはまだ「むつ」だった。「みらい」の母港は青森県のむつである。津波の前に沖に出ていたので無事だった。SORA2009というところで「みらい」の活動を紹介している。あちこちの津波や地震を調査している。海洋調査の重要性を痛感している。
関東大震災の被災者3000名を船内に収容した三島丸、当時、ドクターが乗船していたので活躍した。日本郵船グループの船延べ46隻で関東大震災の被災者支援をした。外国の船会社も、国内他社も支援した。
日本海海戦に活躍した信濃丸、「敵艦見ゆ」で有名。孫文が乗った船。
海運の歴史を扱った博物館は当館だけである。氷川丸も当館所属,展示物のひとつ。
被弾炎上「山城丸」 造波抵抗の減少を図ったバルバスバウを最初に採用し、欧米各地で反響を呼び起こした。それまでは20ノット出すのに18000馬力必要だったが、本船は13500馬力だった。1973年,第4次中東戦争で被弾した。左舷4番ホールド、炎上した。27歳のとき。ホールドに入って消火活動したが,ミサイルが被弾したときの火災はなかなか消すのが困難だった。
山城丸、消火活動の末、船体が左舷に傾く。現場数名以外、短艇で避難させた。現場の人間も短艇に移れと命じられた。甲板を這うようにして左舷から右舷に移った。人員点呼する。本船37名。しかし36名しか短艇に乗っていない。おかしい。船長がいない。
昭和45年、野島沖、「かりふぉるにあ丸」、沈没するときに何人か行方不明になった、ほとんどは助かったが船長はかたくなに本船に残った。船長は短艇に向かって手を振った。船長は船と運命をともにした。
当時の船員法、「船内にある者を去らせた後でなければ自己の指揮する船舶を去ってはならない(船員法12条)」
かりふぉるにあ丸の事故以来この条項は削除された。
最終的には船をあきらめることになり,船長を含めて全員救助された。
6. 佐藤英孝『船を造るよろこび』
元四国ドック(株)社長
進水式のようすのビデオ,支綱切断船が進水する。支綱と斧は安産のお守りとなる。
いろいろな種類の船の紹介。
VLCC、30万トン。日本で1日に使用する原油の半分。
タンカーの構造と貨物油流出の防止,ダブルハル構造、IMOの規定。
タンカーの全長、333メートル、東京タワーと同じ、スカイツリーの半分。デッキ面積17000平方メートル。
LNG船、-162℃
体積1/600 サッカーボール4個分がゴルフボール1個分に。
蒸気タービンエンジン。
13万5千立米、日本の消費量の4日分。
MOSS構造の船とメンブレン構造の船
バラ積み運搬船(バルクキャリア)
鉄鉱石運搬船,密度大、貨物倉を小さくしてある。
パナマックス型バラ積み運搬船
ハンディサイズ型バラ積み運搬船、デッキクレーンを持っていて自分で荷役できる。
船はどのようにして造られるか。積荷、量によって決まる。
工場建屋、ドック、艤装岸壁
ドック建造、船台建造
契約、設計、加工、部材組み立て、ブロック制作、ブロック搭載、進水、岸壁艤装、試運転、引渡し。
模型による水槽実験、船首が水面を切る状態、船尾が波を立てる状態を調べる。
一般配置図作製
鋼板をマーキングし切断する。
自動切断機を使う。
自動溶接巧みの技・(手偏に尭)鉄でぎょうてつ、かしめるという漢字、によって曲面を出す
構造振動計算、三次元モデル作製、IT技術の集積。
船は私たちの生活にどのように役立っているか
日本、1億3千万人、国民総生産世界第3位(2010)、エネルギー消費世界第5位(2008),海外から資源を輸入
日本の産業と海運、
製鉄、発電、製油所、工場、ガス、スーパー
鉄鉱石、石炭、原油、LNG、などの輸入・・・船による。
輸出、ほとんど船で。
輸入の99.7パーセント海運で(重量ベース)
ハンバーガー(小麦100%輸入、肉も輸入)60パーセントくらい輸入品
重要な航路:パナマ運河、スエズ運河、ホルムズ海峡(原油)、マラッカ海峡(原油)
ホルムズとマラッカが通れないと日本は枯渇する。
船がないと私たちの生活はどうなるのか。
これからの船:スーパーエコシップ、CO2を70パーセント削減する、太陽光2パーセント、風力4パーセント、燃料電池、摩擦抵抗削減、プロペラ効率向上など総合的に。
海洋資源の開発、石油掘削船、海上石油生産設備、海洋調査船
海洋海域の利用、浮体飛行場、海上風力発電、海底調査・研究。
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