2010-05-10

授業とアドリブ

 先日の Jazz live について、「音楽は演奏者と楽器だけで成り立つのではなく聴衆も含めた芸術だと思うと」書いた。
 授業も同じだと思う。教師と教材だけでは成り立たず、生徒との相互作用があって初めて授業といえる。生徒から何の反応もない授業は、冷たくてやってるほうもつまらないが、生徒はもっとつまらないだろう。
 世間では何の用意もなしにその場しのぎをする事を「アドリブ」と言うことがあるけれど、それはジャズのアドリブに対する誤解だ。ジャズのアドリブは、(素人の考えながら)、使う音階やコード進行、リズム、小節数などがだいたい決まっていて、その制約の中で即効演奏をする。歌なら、1番、2番、3番と順番に唄うところ、1番と2番、2番と3番の間にその曲の要素(音階、コード、リズム)を生かして、その曲の雰囲気が出るように即効演奏をする。アドリブのときに、奏者どうしが2小節ずつとか4小節ずつなどのように交互にアドリブをすることもある。
 授業でのアドリブは、それと同様でなければならないと思う。その場限しのぎの、授業との脈絡なしの脱線をするのはアドリブではなく、デタラメとしか言えない。すばらしいアドリブには生徒も反応し、それによって授業の本筋もよく理解して彼らの脳裏に焼きつくのだと思う。
 プロミュージシャンの演奏をライブで聴くたびに自分の授業もこうでなくては、と思う。

2010-05-08

久々の Jazz live

 今日は休みの日だったが授業の仕込などの仕事をするために出勤した。帰りに妻と時間を合わせて,予約してあった葉山マリーナのキャプテンズルーム木住野佳子(きしの よしこ)ピアノトリオを聴きに行った。



出演:木住野佳子(pf),西嶋徹(b)藤井学(ds),司会:キャロル山崎



 第1部
 Manhattan Daylight (オリジナル)
 By the sea(オリジナル)
 おいしい水(Agua de Beber,Antônio Carlos Jobim)
 シチリアーノ(フォーレ:Gabriel Urbain Fauré)
 G線上のアリア(バッハ)
 Con Passione(オリジナル)・・・「コンパ しようね!」と笑いをとったが,とても情熱的な曲だ。

 第2部
 雪待月(オリジナル)
 凛嶺(オリジナル)
 And I Love Her(John Lennon,Paul MacCartney)
 Waltz For Debby(Bill Evans)
 Bossa De Funk(オリジナル)
 極楽鳥(オリジナル)

 アンコール
 One Note Samba(Antônio Carlos Jobim)



 木住野さんのライブには14年ほど前から通っていて,一時期は毎月都内へ聴きに行っていたのだが,この頃は足が遠のいていた。音楽はやはりライブが良い。その時,その場だけの1回性,これをベンヤミンはauraと呼んだのだのだな,確か・・・。
 音楽は演奏者と楽器だけで成り立つものではなく,聴衆も含めた芸術だと思う。緊迫感,グルーブ感,演奏者同士のアイコンタクト,拍手や掛け声等々があって,その時その場だけの感動を得られる。
 今日の演奏はジャズの醍醐味を充分に味わえた。激しい曲,日本音階の曲,クラシックのジャズアレンジ,ボサノバ,スタンダードナンバーのワルツフォーデビーは木住野さんらしい変拍子(3拍子,5拍子,4拍子),ベース,ドラムともにドライブ感充分で,とても満足した。

 会場の葉山マリーナはさすがにヨットがたくさんあって,元船乗りとしては楽しい場所だ。



 今日のライブは湘南ビーチFM 78.9で中継されていたので,演奏開始のときや,残り時間などを示すのにタイムキーパーが合図を送ったり残り時間を示すボードを掲げたりしていた。こういうのは初めてだった。
 驚いたことに,湘南ビーチFMというのは,ジャーナリストの木村太郎氏が社長をしていて,今日のライブにも来ていた。ミーハー的に一緒に写真を写してもらったが,パブリシティ上のこともあるのでここには掲載しないでおこう。

2010-05-01

納得研究会(2010年度第2回)

 横浜国立大学で今年度第2回の納得研究会が開催された。今回の発表は次の2題。
報告1. 横浜清陵総合高校のキャリア教育の実践,横浜清陵総合高校 五十嵐先生。
 総合学科高校は,普通科高校,専門高校に次ぐ第3の学科として平成6年度から全国で設置が始まり,横浜清陵高校は今年で6年目を迎える。
 生徒が将来の職業選択を視野に入れ,主体的な学習をすることができるよう,多くの特色ある科目を開講している。「キャリア教育」というと”就職指導”や”進学指導”と誤解される場合もあるようだが,そうではない。生徒が自分の将来について広い視野を持つこと,そうして得た視野から自分の将来像と道筋を描くこと,そのために必要な職業観や進路選択を行う指導を横浜清陵総合高校は展開してきた。その結果,文部科学省が提唱する「キャリア教育」の目的に合致したということである。
 清陵では,「産業社会と人間」,学校設定科目の「コミュニケーション」と「視点」,そして課題研究としての「探求」を学びの幹として全ての生徒が学ぶ。事業所見学と報告,校外の社会人に対するインタビュー実習ではインタビューイーへの交渉も生徒自身が行い,これも全校の前で報告会を行う。これらによって視野を広げ,総まとめとしての「探求(課題研究)」で自分の将来像を具体的に描く。

 単位制高校には,目新しい科目や楽しそうな科目などを生徒が脈絡なしに選択する危険がともなうが,横浜清陵総合高校ではそのような危惧を払拭する実践を積み重ねてきた。我が海洋科学高校でも見習うべき点が多々ある。

報告2. 「花毛布」の歴史と継承,明海大学 上杉恵美先生。
 日本の船で100年以上も続けられてきた「花毛布」について,その歴史,代表的な作品,その伝統継承に伝の企業の意識と個人の意識,技術の継承方法について,動画を交えて発表していただいた。
 結婚式の披露宴などで,ナプキンをきれいな形に折ってテーブルに飾る事があるが,日本船ではベッドメークしたあとの寝台の上に,予備の毛布を花や生き物などの形になぞらえて飾る習慣がある。
 下の写真2枚は,横浜の帆船日本丸に展示されているもの。





 外国へ行く手段が船だった時代に,日本郵船や大阪商船等の日本を代表する船会社が競うようにして旅客へのサービスとして行っていた。戦後になってからも,青函連絡船,航海訓練所,海洋研究開発機構の船などで行われてきたが,外航旅客船が極端に減少してからは継承者も少なくなった。
 しかし,近年は日本船籍のクルーズ客船の人気が出てきており,「花毛布」の伝統文化を継承しようとする動きもあるようだ。伊豆の下田から神津島へ行く新神汽船のアゼリア丸でも行われているらしい。
 実はこの私も,練習船の機関士をしていた頃に花毛布のサービスを受けていたことがある。毛布を使う前に,折り方を再現できるようにそっと開いてひそかに練習したこともある。もう20年くらい前のことだ。

 花毛布は,会社によっては「飾り毛布」と称されることもある。いずれにしても,永い間主として先輩から後輩へ口伝によって伝えられてきた。会社の誇りであり,司厨員にとっては一人前の証しでもあった。
 また,旅客に対しては,生花を飾ることができず,季節感も乏しい長期の航海に潤いと癒しを演出するため,四季折々や寄港地にちなんだ形に花毛布を飾って,「おもてなし」を表現することでもある。
 教科書もなく,系統的な教育で伝えられたわけでもなく,また,社史等にもその歴史や種類、折り方は記録されていないという。
 私の勤める海洋科学高校でも,この「花毛布」を課題研究に選んだ生徒がいる。まずはたくさんの作品を再現し,記録し,さらに新作を創作したい。

【懇親会】
 研究会のあとはいつものように懇親会を開いた。席に着いた面々が,だれ言うともなしにタオル地のお手拭で「花毛布」ならぬ「花お手拭」を作り始めた。ノリの良い人たちだ(笑)!


有元先生作「コブラ」









横浜市歴史博物館と台町探索

 納得研究会に先立つ午前,横浜市歴史博物館に集合した。この博物館の展示にかかわったまち研究所の重盛さんに案内していただいて,横浜駅周辺が江戸時代には海だったことを示す模型,東海道の宿場町であった台町周辺の様子,そして台町にあった旅館「さくら屋」の10分の1模型などを見学した。
 さくら屋の模型は実によくできていて,当時の旅人の様子が偲ばれる。
 このあと地下鉄で横浜駅に移動し,台町を実際に歩いた。こうして,全体像を俯瞰してから現地を歩くと歴史が面白く感じられる。
 最近,博物館や歴史に興味が出てきているので,楽しい催しだった。





2010-04-24

出航式

 早いもので,海洋科学高校になって初めて入学した生徒も3年生になった。4月初旬より乗船実習が始まっていたが,本日ホノルルに向けて出航した。
 

出航式



UW1を表す旗流信号

 「UW」が「安全なる航海を祈念する」という意味であるのに対し,「UW1」はそれに対する答礼である。「お見送りありがとう」といったところ。


 長3声の汽笛を吹鳴させ,出航して行った。今日は凪だったが,ほとんどの生徒にとって長期の航海は初めてなので防波堤の外に出た途端に船酔いするものもいることだろう。たくさんの試練を乗り越え,逞しく成長して帰港することと思う。彼らの健康と航海の安全を期する。

2010-04-14

課題研究始動

 今年は海洋科学高校となって3年目,完成学年となる。専門高校では従来から「課題研究」が行われているが,本校はこれまで,学科ごとに実施してきた。そのため,他科でどんなことをやっているのか生徒どころか教員もあまり詳しくは知らずに,主として自分の学科の中だけで完結していた。
 今年からは海洋科学科として1学科になったので,課題研究を指導する教員も大所帯となる。今日は第1回目となるので,三年生全員を視聴覚室に集めて科目の説明を行った。
 研究テーマをすでに決めていてすでに相談に来ている生徒もいるが,何を研究しようか迷っている生徒もいる。そこで,担当する教員ひとりひとりに「研究テーマの例」を掲げてもらい,その説明を行った。もちろん生徒が自分で設定した研究テーマは大歓迎である。
 4月中は「お試し期間」として各先生と研究テーマの相談を行い,連休明けから正式配属とする。12月に成果発表,それまでの間に中間発表の機会を設ける。成果発表は,1-2年生や教職員が見学できるような場としたい。
 今日,生徒に説明したこと:
 課題研究は,先生が教壇から生徒に知識を伝達する授業とは違う。『めだかの学校』の一節「だれが生徒か先生か」というような時間となることが理想だと思っている。研究内容や深さ,得られた成果や知見に,教員が教えられるという可能性を秘めた科目で,指導者としての教員が成長する機会でもある。そうなるように生徒一人一人が主体となって課題を設定して何らかの成果を導き出して欲しい。

2010-04-08

成績処理支援システム稼動

 一昨年に単位制高校となったときに導入された成績処理支援システムを担当している。平成21年度末の成績処理が終わった直後から平成22年度の準備を進めてきた。
 春休み中はほとんどの時間をこのシステムの設定に費やした。授業科目の登録,時間割の登録,授業担当者の登録,新入生の登録,クラス振り分け,履修登録などをひとつひとつ確認しながらおこない,科目担当者と生徒全員の最終確認を得て,本日から新年度の運用を開始した。
 新しく着任してきた先生方への説明を週明けに行う予定。今年度からは担当をはずれて別の分掌へ移るが,軌道に乗るまではアフターケアを行うつもりでいる。