2012-03-19

写真撮影講座! "学び"の魅力を伝えよう!

NPO法人 EDUCE TECHNOLOGIES主催の「写真撮影講座! "学び"の魅力を伝えよう!」に参加した。

 ワークショップでの学びを,表題のとおり,魅力的に伝えるために,どのように撮影するのかを学ぶワークショップだ。2月7日に東大の中原淳先生のブログで紹介があり,プロ写真家の見木久夫さんの指導を受けられるということで楽しみにしていた。

 東京メトロ八丁堀から徒歩4分の株式会社内田洋行「東京ユビキタス協創広場 CANVAS」を会場として,午前10時から午後5時半過ぎまで行われた。

 同じ場所の別の階では,日本生産性本部と東大中原研究室が主催する「人材育成の未来をACTする」というワークショップが開催されていて,そこへお邪魔して撮影実習する,ワークショップを実地本番で写真撮影するワークショップで,メタワークショップとでも言うのか,とても面白い試みだった。

 (なお,400枚以上の写真を撮影したが,現に行われているワークショップにお邪魔して撮影した写真なのでこのブログへの掲載はしない。)

【中原先生講演】

 1990年代には「ワークショップ」という言葉はあまり使われなかった。最近は一般的になってきたが,内容や参加者同士の相互交渉については注目されても,そのワークショップの様子を外に伝えたり記録に残したりする「技術」についてはあまり議論されてこなかった。

 ワークショップに集って「わかる人だけわかる世界」ではなく,ワークショップで行われている学びの魅力を外へ伝えて「みんながわかって参加できる世界」に広がることが大切である。

 fan研究,fan community research,fandom

 この場で起こっていることを,外に伝える,自分のために残す。


【写真ワーク(見木先生)】

1. 写真の技術概要的な説明

 (1)写真に必要な知識:テクニカル(露出,ピント,ブレ回避)とセンス(構図,タイミング,演出効果)の相乗。

 (2)レンズ(ピント,画角,絞り)とカメラ(シャッター,センサー)
画質と描写力はイコールではない。
 (3)レンズは一生もの,ボディは消耗品。
 (4)ワークショップでは広角が重要。
 (5)絞り:光量だけでなく,被写界深度(ピントの合う範囲)を決める。
 (6)シャッター:動くものを止めて撮れる。
 (7)ワークショップでは1/80秒以下のシャッター速度ではブレることが多い。

2. 実践1

 (1)参加者9名を2グループに分け,1グループが自己紹介などをして写真撮影についてディスカッションしているところを,もうひとつのグループが撮影する。
 (2)撮影した写真を全員の前で投影してリフレクション

3. 実践2
 (1)「人材育成の未来をACTする」ワークショップ会場に移動
 (2)こちらでは,120名くらいの参加者がグループに分かれて名刺交換している。すでに撮影実習は始まっていて,その様子を撮影する。
 (3)基調講演に続いて行われたアイスブレーキングを撮影する。
 (4)さらに会場を移して,中原研究室大学院生による人材育成に関する研究のポスターセッションの様子を,開始前から佳境に入るまで撮影する。
 (5)撮影した写真のリフレクション
 人物だけでなく,会場全体の様子や会場で使われている道具類など,その場を演出している物にも眼を向ける。
 会場が暗ければISO感度を上げる。画質は犠牲になるが,記録のためならば充分。
 ブレた写真は修整できないが,暗さはある程度補正できる。
 「その時その場」しかないので,取り残しのないようにたくさん撮影する。
 動きの一瞬を逃さないために待つ。
 良いアングルを探して動く。
 人のアップは顔が優先。
 スマートホンやコンパクトデジカメなど,いろいろな手段で普段から撮影することは練習になる。
 低い位置からの写真は立体的になるが威圧感も出る
 上からの写真は可愛さ・フレンドリーさが出る
 1枚の中に何もかもを入れようとしない。引き算で撮影する。人と人との関係性を表現する

 ワークショップ記録写真で大切なこと・・・「どんな人たちが,誰と,何を,どんな雰囲気で」

 雰囲気を伝えるモチーフ
 来場する人たち,熱く語る講師,語り合う人と人,書きとめている手元・・・

 人がいるから撮れるショット
 人がいないから撮れるショット

4. 実践3

 (1)東京学芸大学の高尾隆先生による,インプロビゼイション(即興演劇)による組織内教育,チーム作り,コミュニケーション作りに関する講演のあと,実際に即興演劇を行ってインプロを紹介している現場を撮影する。
 (2)リフレクション
 最高の瞬間を撮影する・・・対象を絞る,射程エリアを確保する,瞬間の捕捉
 一人,人と人,人と物
 ハンターとしての嗅覚
 笑顔・集中・手振り

【ワークショップに参加して】
 撮影は,「カメラ」の技術ではなく,「写真」の技術でもなく,「記録」の技術なのだと思った。その点では,日本科学未来館で行われた「ウメサオタダオ展」と関連が深い。もちろん,カメラを使って撮影する以上,カメラと写真の技術をみがくことは前提だが,何を,どのように記録して人に伝えるかが大切なのだと,改めて気付いた。
 今日撮影を行ったワークショップは,次の書籍が参考になる。
高尾隆・中原淳『インプロする組織』三省堂
中原淳・編著『職場学習の探求』日本生産性本部

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