専攻科の生徒が三級海技士(機関)の国家試験を受験するというので,模擬試験を行った。三級海技士(機関)とは,外航船に機関士として乗り組むための資格で,筆記試験と口述試験がある。口述試験を受けるためには一定の乗船履歴が必要だが,筆記試験は乗船履歴を満たす前にも受験できる。
試験科目は「機関その一」「機関その二」「機関その三」「執務一般」となっていて,内容は次のように多岐にわたっている。三級の上には二級,その上が一級となっていて,一級(機関)を取得すると出力無制限,航行区域無制限で機関長の職を執ることができる。
蒸気タービン,内燃機関(ディーゼルとガスタービン),推進装置,ボイラー,発電機,電動機,変圧器,電気回路,電子回路,自動制御,冷凍装置,ポンプ,油圧装置,甲板機械,材料力学,金属材料,機械力学,流体力学,燃料油,潤滑油,乗船実務に関わる諸事項等々・・・。
国家試験と同様の出題内容,問題用紙,解答用紙を準備し,本番の試験と同じように実施した。模擬試験を行う前に説明した注意事項:
① 解答用紙を試験官だと思って,読んでもらえるように丁寧に書く。
② 数式を書くときは,用いる量記号が何を示すか明記することによって採点者との間に約束が成立する。(電圧をVとする,電流をIとするなど)。
③ 量記号は斜字体,単位記号は直立体で書く。
④ 出題内容は,図を描くことで問われていることの意味が明確になる。
⑤ 断片しか覚えていない問題でも,解答を書き始めると答えがわかる場合がある。
この注意事項の⑤には思い出がある。学生時代に学校の試験で「鍛造比とはなにか」という問題が出たときに全くわからなかった。しかし,あきらめずに「比とは・・・」と書き始めた。次に「鍛造とは金属を鍛えて目的の形状に成型する工作方法である」と書いた。ここまで書いて,ふと思い立ち,「鍛造比とは・・・」と解答したところ,これがほぼ正解に近かったらしく無事に単位を頂戴できた。もう30年以上も前の話だ。
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