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2012-12-08

すべての学校で進める海洋教育

東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター主催の第6回シンポジウム・海は学びの宝庫「すべての学校で進める海洋教育」に参加した。


東大の銀杏並木。この先に安田講堂がある。

1. 小中学校の海洋教育実施状況に関する全国調査の結果

2. 三浦市における海洋教育の取り組み

3. 海外における海洋教育推進の事例(カナダ,台湾,オーストラリアなど)

4. 座談会(文部科学省教科調査官,海洋教育促進研究センター研究員他)


日本の領土面積は約38万km²で世界第61位だが、排他的経済水域の広さでは世界6位である。この事実を背景として,海洋基本法は第 28 条(海洋に関する国民の理解の増進等)で国民が海洋に関する理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育において「海洋に関する教育」の推進することを求めている。


海を学びの場とする水産高校は,日本の海洋教育の一翼を担うべく,視野を広げて行く必要がある。





2012-10-13

湘南丸出航式(平成24年度第二回)

湘南丸の第二回遠洋航海出航式が行われた。



今航は専攻科1年生だけの乗船なので、実習生にとって充実した航海になる。本科生の時以来3回目の遠洋航海なので、整列、敬礼などの礼式もしっかり板についてきた。
仕向け港はホノルル。航海・機関・鮪延縄漁業実習を行って12月中旬に帰港する予定だ。
彼らは来年4月には座学課程に進級し,3級海技士国家試験を目指す。


2012-09-26

航海訓練所研究発表会(第12回)

独立行政法人 航海訓練所の第12回研究発表会に参加し,9本の研究発表を聴いた。


開会挨拶 理事長 飯田敏夫氏
航海訓練所は実習生に対する教育訓練、練習船の運航と維持管理を行なうとともに、船員教育訓練・船舶運航技術ならびに国際条約に関する調査研究を行なっている。
所外諸機関との共同研究も進めており、本年は独立行政法人化後12回目の研究発表会開催となった。今回はSTCWマニラ改正に関わる研究を中心に9本の発表を行う。これらの研究に対して忌憚のないご意見をいただきたい。


発表1  救命艇降下揚収作業実習の訓練効果の向上を目指した新たな試みについて
-リスクアセスメント手法を応用した新たな試みについて-
SOLAS条約要件(5分以内に進水させるように積み付けること)
船舶救命設備規則(振出し及び降下を安全かつ迅速に行えること)

船舶職員には救命艇を迅速に降下させる能力が求められる。

リスクアセスメントを応用した手法により実習生に救命艇降下作業要領を改善させる訓練を実施した。
リスクアセスメント手法(risk assessment:リスクの大きさを評価し、そのリスクが許容できるか否かを決定する全体的なプロセス)

(1)本船で定めている「救命艇降下作業要領」を習得させた。
(2)リスクアセスメントについて講義を行った。
救命艇降下実習を行い、その内容に対してリスクアセスメント手法により作業要領を改善させた。
(3)教官によってさらに作業要領を改善し救命艇降下作業を実施した。

知っている知識からできる技術の習得に繋げる。

【感想】
救命艇降下作業の改善を実習生に考えさせ、改善した作業要領を実際に行って評価することは、救命艇降下実習を「やらされる実習」から実習生の主体的な学習に転換したものとして興味深かった。
学習環境デザイン研修講座(横浜国立大学有元典文教授が提唱するRISP(Reality, Identity, Significance, Participation))の考え方とも通底するものがある。


発表2  ECDIS訓練教材の作成及び訓練手法の研究
ー簡易航海情報記録システムの開発ー
ECDIS(Electric Chart Display and Information System)
STCW条約マニラ改正(2010年)によりECDIS訓練が義務化された。
当所練習船に適するECDIS教材を作成し、訓練・実習を行なって効果を評価検証した。
船橋に1台設置しているECDIS実機では多人数の実習を行えないので、教室でデータを再生できるように簡易公開情報記録システム及び簡易公開情報再生システムの開発を行った。
この教材による授業は条約が求めるECDIS訓練としては認められないが、
①多人数教育に対応できる
②航海士がコースラインの作成・改補を行なって再生できる
③航海当直のレビューを行なうことができるなどの効果がある。


発表3  効果的な航路見学手法に関する研究
航路の学習は実船の航行や操船シミュレータなどを用いて各船で相当の取り組みをしてきた。
タブレットPCやスマートフォンの普及によりこれらを用いた教材を開発すれば、場所・時間の制約にかかわらず自学自習できる。
タブレットPCに導入することを最終目標として来島海峡航路航行の事前学習ソフトを開発した。

【感想】
視聴覚教材の開発は、(スライド、OHP、TV、ビデオ、PC、プレゼンテーションソフト、動画編集ソフト)など視聴覚機器の発展と関わりが深い。特にタブレットPCは持ち運びに便利でほとんど瞬時の起動ができるなど、教具としての発展性が大きい。教室への普及も進むものと思うが、同時に教材の開発も大きな課題である。


発表4 船舶共同通信システムに関する研究
-Class D 国際VHFの現状と、実習訓練への応用可能性-
国際VHF:義務船舶局では必ず設置されているが、漁船やレジャーボートなど非義務船舶局では法的搭載義務がない。
商船と漁船・レジャーボートの間では国際VHFは危険回避の通信が困難だった。
大型船と小型船の共通の通信システムがないことが衝突事故の原因となっている。
電波法改正(H21)で船舶共通通信システムが導入され、比較的簡易に特定船舶局の免許が可能になった。
これらを踏まえ、国際VHFクラスDの現状を、漁船の現状、海岸局、マリーナなどの船舶局について調査を行った。
また、国際VHFシミュレータを利用した実習を行った。

DSC機能:Digital Selective Calling(デジタル選択呼出し装置)


発表5 ERM訓練の訓練評価方法に関する予備調査の実施について
STCW条約マニラ改正(2010年)によりERM訓練が強制要件となった。
ERM実習訓練の評価シートを試作し、予備調査を実施した。(各能力要件が達成できたかどうかの評価)
ERM能力要件及び評価基準を4項目に分類しているが5項目を追加した。
① チーム形成・維持(コミュニケーション)
② 意思決定
③ 情報の理解・共有
④ 状況認識力
⑤ 技術的技能(追加)

発表6 インストラクタの視点によるERM訓練評価方法の検証について
ERM訓練の訓練評価方法に関する検証(評価の難易度、労力、評価可能な頻度)を行った。
各実習において、適切に評価が行えるか、評価する場面が充分にあったかなど。
教えることと評価することの境界がわかりにくいなどの課題がある。


発表7 Engine-room Resource Management の基礎教育について
ERM義務付けに対応するため当所においてもカリキュラムの見直しや訓練方法の検討を行なっている。
実習生にERMの基本知識(①ERMとは何か,②構成要素は何か,③どのような訓練か)と訓練への動機づけを行なうための取り組みを行った。

【参考】
ERM(Engine Room Resource Management)およびBRM(Bridge Resource
Management)
航空業界のCRMから医療現場に、そして船舶(BRM,ERM)に拡張されてきた訓練方法である。航空業界は危機管理に対する研究が長年にわたって行われており、その内容も進んでいる。
最近では航空業界から始まった「CRM」という訓練方法が、医療におけるリスクマネジメントにも取り入れられてきている。
(注)CRMとは:Crew Resource Managementの略語で、『安全運航を達成するために、操縦室内で得られる利用可能な全てのリソース(人、機器、情報など)を有効かつ効果的に活用し、チームメンバーの力を結集して、チームの業務遂行能力を向上させる』というものである。
平成12年4月から、国内で運航を行う全ての航空会社のパイロットに対してCRMに関する訓練が義務付けられた。


発表8 データベースソフトを活用した業務効率化に関する研究
東洋エンジニアリング株式会社が開発したKBW(Knowledge Bank Web)を機関部整備作業の管理に供することが可能かどうかの検証を行った。
熟達者から初心者への技術の伝承が困難になってきている。
整備作業・保全作業において機械の様々な状況から故障原因や過去の整備記録を参照する技能は暗黙知に属することが多い。
このソフトウェアは「キーワード1画面法」と呼ばれる手法によって過去の記録を検索可能である。
1船独自でなく船隊全体での共有が望ましい。


発表9 機会部品に生じた亀裂部の補修材修理の事例について
-雑用・制御用空気圧縮機エアクーラに生じた亀裂部の修理-
制御空気圧縮機のエアクーラの亀裂を「ポリウレア樹脂塗装膜施工」によって修理した。
エアクーラには伝熱面積を大きくするためのフィンが多数取り付けられている。
そのため、亀裂部を溶接によって修理することは極めて困難である。
従来は遊園地などのアトラクションの防水加工に用いられていたポリウレア樹脂を機械に適用した。
腐食甲板、タンクトップ、ビルジハットなどの補修にも有効と考えられる。


閉会挨拶 理事 神田一郎氏
実習訓練と船舶の維持管理業務を並行して行いながら、練習船の教育訓練・船舶
の管理及び運航技術・海上労働・船員の健康、国際条約であるSOLAS、STCW条約
関連(BRM、ERM)などに関して当所独自の研究や所外諸機関との共同研究を行い、
年に一度の研究発表会を実施している。実習手法、評価手法も研究するようにな
ってきた。今年は発表がやや少なかったが、今後さらに充実させたい。
自然環境の中で船酔いを克服しながらの実習は、教官だけでなく自然環境が教え
てくれていると実感している。


2012-09-02

水中ロボットコンテスト

海洋研究開発機構で開催された「水中ロボットコンテスト」高校生部門に,専修ヒレ推進コンテストに出場したチームが参加した。
あらかじめ用意されていた塩ビ管と制御装置,プロペラなどのキット(アクアモデラーズの皆さんが開発した)を組み立て,潜水訓練プールに設けたコースを周回した後に空き缶を回収する競技だった。

岡山からの参加もあり,6チームで技を競ったが本校は機体制御系のトラブルがあって予選敗退した。
しかし,水中ロボコンへの興味がふつふつと沸いてきて,今後の課題研究の良いテーマとなりそうだ。






2012-08-25

第6回ヒレ推進コンテスト

横浜国立大学で第6回ヒレ推進コンテストが開催され,本校から2チームが参加した。
これまで4回出場したが,その中で2チームとも最も良いタイムを記録した。(17秒/10mおよび19.6秒/10m)。 決勝トーナメントで思わぬトラブルに見舞われ,三位決定戦にも敗退したが,予選を含めた記録では3位と4位だった。



2012-08-06

花毛布練習会

 明海大学ホスピタリティツーリズム学部の上杉研究室を生徒とともに訪ねた。同学部の大学生が9月にビッグサイトで開催される”旅博2012”に出展して花毛布の実演を行うので,その練習に便乗させてもらった。

今回は,孔雀,羊などこれまで折ることのできなかった作品の折り方が判って参考になった。

IGA_7837


IGA_7835


IGA_7834


IGA_7831


IGA_7830
孔雀


Untitled
コブラ

2012-06-18

湘南丸帰港

実習船湘南丸が遠洋航海から帰港した。4月21日に三崎を出航してから58日の実習航海を終え,無事に予定通り三崎港に着岸した。

本科実習生と専攻科実習生合計44名は,航海実習に加え資源調査のための鮪延縄漁業実習,ホノルルではハワイ大学の特別講義の受講など密度の濃い実習を行った。

家族と職員の出迎えに対し,実習生は登舷礼を行った。無事に着岸したが税関検査と入国審査があるため,着岸後2時間くらいは本船に出入りできない。

専攻科生は明日からも実習が続くが,本科生は数日の休暇の後学校での授業が始まる。


水も燃料も消費してかなり喫水が上がっている。


左舷通路にはコンベヤがあるので必ず右舷を接岸する。


出迎えの家族と職員に対して実習生は登舷礼を行う。

2012-05-26

日本丸メモリアルパーク

横浜に用事があったのでついでに日本丸メモリアルパークに立ち寄った。1983年12月から1984年5月末までの短い間だったが三等機関士として乗船した懐かしい船だ。その年,私は6月から陸上勤務となり,本船は9月で練習船としての現役を退いたので,残念ながら最終航海には乗っていなかった。
また,この日本丸が停泊しているのは旧横浜船渠(後に三菱重工業横浜造船所となった)の1号ドックで,私は1979年の3月中旬から3ヶ月間ここで工場実習をさせていただいた。いまのみなとみらい地区のほとんどが三菱重工業横浜造船所で,今ではこの1号ドックと公園・レストラン街になっている2号ドックだけがその名残をとどめている。
今日は日本丸には乗船せず,メモリアルパーク周辺に野外展示されている史跡を見て回った。こうした展示物も,技術史の一端を見ることができてとても興味深い。

後姿もまた美しい


今日は展帆の日ではないけれどこんな日のほうがすいていて良いかも知れない。


メイン・トップゲルンマスト。白く塗ったトップを「トラック」という。

第二次世界大戦中,日本丸・海王丸はすべてのヤードとトップゲルンマストをはずして船体を黒く塗装し,国内の航海実習を行っていた。戦後になって帆装を復旧するときに,三重県北牟婁郡の樹齢200年と推定される檜(ヒノキ)を加工して取り付て40年ほど使用していたが,腐食が激しくなったため1990年に吉野檜のマスト材に取り替えたのだそうだ。(メモリアルパークの説明版から)

マストを下のほうから見たところ。鋼製マストの上にこのトップゲルンマストを接続していた。


ドックから海水を排水するためのポンプのケーシング。とても大きなポンプだ。


空気ポンプ:造船所の空気式工具などを使うための圧縮空気を作る空気圧縮機。CHICAGO PNEUMATIC TOOL CO.という名盤が見える。
動力は電動機を使っていたようだ。


ストックアンカー:これは日本丸で使われていたものではない。

2012-04-21

湘南丸出航式

本科3年生と専攻科1年生合計44名をのせて実習船湘南丸が三浦市三崎港から出航した。今日は天候に恵まれ,風もなく穏やかな日和の中,静かに2ヶ月あまりの航海に出航して行った。
 見送りの家族の中には,映画「コクリコ坂」で有名になった見送りの信号旗「UW」を用意している人もいた。
 6月末までの約2ヶ月余り,航海・機関の実習に加え,海洋調査と鮪の分布調査を兼ねて鮪延縄漁業実習も行う。
 仕向け港のホノルルでは,ハワイ大学の特別講義受講も計画されている。

 航海の無事と稔り多い実習を祈念して船を見送った。






2012-03-23

Steady as she goes!

3月中旬に行われた海技従事者国家試験(臨時日程)の合格発表があった。
 私の担任クラスから専攻科を修了した6名のうち,4名が三級海技士(機関)に,2名が内燃機関三級海技士(機関)に合格した。この1年は昨年度と同様,中間試験や期末試験の他に模擬試験を計画して,ほぼ毎月何らかの試験を行ってきた。過去の修了生が残してくれた口述試験対策の蓄積も,整理すると力強い参考資料となった。

 30年以上前に自分が受験した時,初めての国家試験でとても緊張したことを今でもよく覚えているが,あの頃は日本人外航船員は5~6万人いたので試験会場にはとても大勢の受験者がいた。今では日本人外航船員は2,000人を下回っており,それに比例して受験者も少なくなった。日本の船会社の支配下にある船腹数(日本商船隊)は減っていないので,外国人船員が日本の船を動かしているということになる。
 今回の修了生も全員が船会社に就職を決めており,4月からは皆が晴れて「免状持ち」の船員になる。彼らが海運の世界で活躍することを期待している。

 Steady as she goes!

2012-01-14

帯アート展

座間神社内にあるギャラリー杜で帯アートの展示が行われているという新聞記事(1月10日,朝日13班)が偶然目に留まったので、早速観に行った。新聞記事には帯アートを制作した同ギャラリー代表の山本さんと作品の一部の写真が添えられていて、その作品が花毛布の「扇」とそっくりなので、なにか通底するものがあるかもしれないと思っていた。

 座間神社はJR相模線の相武台下駅から歩いて6~7分のところにある。御神籤がたくさん結わえられていて、正月の雰囲気がまだ残っていた。行って初めて気づいたが、ここは7年前に亡叔父の1年祭をした神社だった。

 ギャラリーに入ると、扇や花など花毛布とよく似た形に折られた帯と、羽子板、生花などが約50点ほどが展示されており、ギャラリー代表の山本さんにお話を伺うことができた。

  • 何年か前にアメリカのあるご家庭を訪問した時に、リビングに帯がさまざまな形に折って飾ってあった。
  • それが家具や部屋と調和してとても不思議な雰囲気を醸し出していた。
  • 帯は締めるか箪笥にしまっておくものであって、折って飾るという発想はなかった。
  • その美しさに魅了され、もともと華道をしていたので、帯を折って花器にしてみたところ大きな反響を得た。
 山本さんはまた、船の科学館の羊蹄丸に飾ってある「飾り毛布」をご覧になったことがあって、実演を是非見たいと思っていらしたそうだ。

 毛布は外国から日本にもたらされたものだが、花毛布は日本船独自の習慣で、外国船にはない。一方、帯アートは、日本から帯を持ち帰ったアメリカの家庭から始まった。そしてどちらもよく似た造形だ。なにか関わりがあるかもしれない。

2011-12-22

海洋教育セミナー(第6回)

日本船舶海洋工学会主催の第6回海洋教育セミナーに参加した。

小中高校生の理科離れ、とりわけ海・船に関する興味・関心が希薄になっている現状に対して、研究施設や海洋関連産業現場の公開、小中高生を集めるイベント、学校への出前講義など、海洋教育の意義と重要性を啓発するためのさまざまな活動が行われている。

 今日のセミナーは、「官」「産」「学」それぞれの立場で行われているこれらの諸活動を総括し、共有する目的で開催された。

 会場には他県の水産高校から知り合いの先生が1名、大学時代や船に乗っていたときの先輩後輩も幾人か出席していて旧交を温めることができた。

会場 :東京海洋大学品川キャンパス 白鷹館
時間 :10時受付開始、11時~17時45分
懇親会:於学生会館、 18時~19時30分

主題:「若者層に刺激を!船舶海洋工学教育の見える化は進むか」

 セミナーの昼休みに大学構内で保存されている雲鷹丸と鯨の骨格標本を見学した。
 雲鷹丸は1909年に建造された3本マストバーク型帆船で、1929年まで農商務省水産講習所(東京海洋大学海洋科学部の前身)の練習船として活躍した船だ。平成10年に有形文化財として登録されている。同大学海洋工学部には重要文化財として明治丸(1874年建造)が保存されている。両船とも貴重な文化遺産だ。
 セミナー会場となった白鷹館のとなりに鯨の骨格標本が保存されている。大きな骨格が2体、補強のための支柱に支えられて保存されており、捕鯨が隆盛を極めたころを物語る。

雲鷹丸


鯨の骨格標本


鯨の骨格標本


学生食堂でハッシュドビーフオムライスと豚汁の昼食


【開会挨拶】
船舶海洋工学会 担当理事 新井誠先生
 子供たちに海や船の教育が充分に行われておらず、保護者たちも海ではなく陸地を向いている状況に対する危機感から、2008年、当学会に海洋教育推進委員会を立ち上げた。その前に数年の準備期間もあった。
 日本は小規模・地道ではあっても海洋教育は行われているが、それぞれが孤立しており、情報交換も進んでいない。
 そこで、海洋教育委員会が核となってそれらをまとめる役割を担い、情報交換を行うために海洋教育セミナーと海洋教育フォーラムを開催している。
今日は産官学それぞれの立場から情報交換を行い、今後の活動を改善、連携を進めたい。

【第1部】官による若年層・地域社会への啓蒙的活動

1. 独立行政法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)広報課 米本智仁氏
 JAMSTECが行っている広報活動、普及活動、教育活動など各種活動の紹介。
 それぞれの活動の特性について、内容の深浅・情報伝達の遅速、コミュニケーションの疎密・人数の多少の観点から振り返った結果が報告された。
一般公開は6割が初めて、4割がリピーターだそうである。(私もこの10月1日に初めて一般公開に参加した。)

2. 海上技術安全研究所企画部 西田浩之氏
 以前は運輸省の組織だったが、独立行政法人となった。第二期中期計画で、「わかりやすい情報提供に努めるとともに、双方向のコミュニケーションにより行うアウトリーチ活動の充実を図るため、小中学生の職場体験・課外授業などを行う」という目標を立てている。以前は、こうした活動はボランタリーだったが、独立行政法人になってからは「業務」となった。

 平成19年議員立法で成立した海洋基本法では海洋教育を重視しており、28条に明記されている。6つの基本理念と12の基本政策。その12番目に海洋教育について(海洋に関する国民の理解の増進など)と決まっている。
 この法律を実施するために「海洋基本計画」(平成20年3月18日閣議決定)が策定され、施設公開、練習船などへの体験乗船、各種海洋産業の施設見学会や職場体験などの取り組みなどが基本施策として位置づけられている。

 施設の一般公開は船舶技術研究所時代から毎年2回行っていたが、独立行政法人になってからは以前にも増して内容を充実させるようになった。
 小中学生の職場体験や課外授業への協力、インターンシップ制度(高等専門学校,大学)による学生受け入れなどを積極的に行っている。
 これらアウトリーチ活動に関わる専門職種はなく、研究者個人の適性や興味に応じて対応しているが、真剣に考えなければならない。

【第2部】産業界からの若年層・地域社会への啓蒙的活動

1. 常石造船株式会社 倉本明氏
2. 新来島どっく 山下芳郎氏
3. 三井造船昭島研究所業務統括部 上入佐光氏

 各社の工場見学(小学生、中学生、高校生受け入)や、職場体験、インターンシップの受け入れ状況、高校への出前授業、大学での特別授業・寄附講座、地域のイベント開催・協力などの取り組みについて報告が行われた。

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 学習指導要領では現場実習や職場体験を充実することとされている。技術の進展は急速なので、すべて学校の中だけで教育ができるわけではない。学校と実社会との乖離をうめるために現場実習、現場体験などが有効である。そういったことを教育活動の中に位置づけることが必要ということから学習指導要領に現場実習や職場体験が盛り込まれた。

 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を通して、将来のスペシャリスト、地域産業の担い手、人間性豊かな職業人の育成のために、地域との連携を積極的に行い、社会人講師の積極的な活用をすることとされている。

 企業に生徒をお願いするということはさまざまなハードルがあるが、産業現場に生徒を送り、学校に戻ってきてから現場での活動を振り返ることによって、体験を学習に昇華させることができる。

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【第3部】大学初の若年層・地域社会への啓蒙的活動
1. 東京大学、ヨットのテクノロジーと夢の島における一般講演会 早稲田卓爾先生
 夢の島公園を会場とし、高校生・大学生・一般を対象としたヨットのセーリング体験活動と専門家による講演を5年間行ってきた。
 東京湾におけるセーリング体験を通して海に興味を持ってもらう。
 講演を通してセーリング競技や船舶海洋産業を支える先端技術に興味を持ってもらう。
 これまで次のような方々の講演が行われた。
  • 鹿取正信氏、金井亮浩氏:アメリカズカップ
  • 西村一広氏:ホクレア号日本航海やスターナビゲーション
  • 雨宮伊作氏:帆船の科学と気候学を利用した航海術
  • 佐野氏:木造ヨット建造
  • 国枝佳明氏:海王丸の航海術
  • 大内一之氏:ウィンドチャレンジャー
2. 東京海洋大学海洋工学部の取り組み 増田光弘先生
 海洋工学部サイエンス教室
 明治丸、資料館、小型練習船やよい、1号館(文化財)などの史跡見学会
 手旗信号とロープワーク体験、ポンポン船工作体験など。
 隅田川鮭の稚魚放流会
 放流が5000匹。帰って来る確率は10万分の1。
 子供たちは卵から孵化させる。
 帰ってくる確率はとても低いが活動を続けている。
 お江戸深川桜祭り(3-4月)川辺からの東京見学。
 臨海小学校サイエンス教室
 リモートセンシングに案する授業(小学生に対して)
 船の科学館水の実験コーナーに協力
 小学校低学年や幼稚園生に大学生が説明する。
 船の安定性、浮沈子などの実験を含めて。
 吾妻橋フェスト、カッター試乗会

 ☆海洋工学部の課題:  日本船社所属の商船は世界の15パーセント。
 しかし、1975年では5万人以上いた日本人外航船員は現在2000人以下。
 世界中ではフィリピンを筆頭に15万人。
 海洋教育を通して海や船舶に夢を持ってもらうことが重要

3. 横浜国立大学における高校生向けコンテストの実施横浜国立大学 川村恭己先生
 受験生の確保、特に船舶海洋工学分野に興味のある若者を増やしたい
 ものづくり教育の重要性(学生フォーミュラ,鳥人間コンテスト)
 海洋分野のおもしろさを伝える。
 従来から小中学生向けの「おもしろ船教室」を実施してきた。
 子供たちが必ずしも横浜国大に興味を持ってくれるわけではない。
 そこで2007年度から高校生向けの講義とコンテストを始めた。
 本年は65名の高校生が集まった。初回は20名くらいだった。
 はじめのころは高校生の募集に苦労した。
 参加した高校生は非常に楽しんだ。
 学生の大会運営が重要。
 船舶海洋分野への興味を導けた。
 5回目となり多くの高校生が参加するようになった。

4.東海大学における小学生中学生高校生への啓蒙活動 修理英幸先生
 船舶、水中ロボット、海洋開発、海洋資源の技術を小中高校生に知ってもらう
 地域の小中学生を対象に遊び感覚でものつくりを体験してもらう。
 講演会やコンテスト、オープンキャンパス、地域のベントへの参加など。
 「静岡かがく特捜隊」プールで水中ロボットを動かそう
 ソーラーボート・人力船大会、三保海岸
 水中ロボットフェルティバル

5.大阪大学からの出前講義と施設航海 箕浦宗彦先生
 出前講義は平成20年から
 施設公開小学生と保護者各100名:海の日制定の平成8年から
 大阪大学に親しみを持ってもらう。
 はじめは教育・啓蒙ということは発想していなかったがやってみるとそのような側面が大きい。
 高校生を大学に呼び込むことはなかなか難しいので大学から高校に出向くことにした。
 1996年から2008年は総覧的に前施設を見せるようにしていたが、リピーターから「去年と同じ」といわれたことなどから2009年からは研究室ごとの輪番で行うようにした。
 100メートル水槽は大阪大学工学部最大の施設。
 パラメトリック横揺れを観察
 風洞実験施設で風のエネルギーを体験
 魚の動きを科学する・・・魚の動きと水中ロボット(タミヤメカフグ利用)
 しかし、この活動に参加した子供たちはいまだ工学部の本学科には入学していない。

6. 大阪府立大学での啓蒙活動 池田良穂先生
 ①1992年から青少年サマーセミナー実施。小学生高学年対象。工作実験1日コース。
 船舶海洋工学科の存続に危機感を持った。
 小学生をターゲットとしたセミナーを実施し、大学院生に指導させる。
 堺市教育委員会で夏休みの工作のコンクールを行うが、そこに本セミナーに参加した生徒の作品が並ぶ。
 地域の社会貢献には役立っているが、目的どおり海洋への興味関心を導出できているのか?
 小学校のときのことは忘れる。中学・高校になると実験できる教員は少ない。それでサマーセミナー出身の本学学生はまだいない。
 ⇒見直しの時期に来ている。それで高校出前授業を行うことになった。

 ②高校出前授業
 大学のほうで出張して出向く。高校進路指導の先生は海洋造船のことを知らない。5年間やってその中からひとり入学してきた。

7. 模型製作による体験活動 広島大学 土井康明先生  2008以前も小学生対象の教室を実施していた。
 一般講演(中学・高校・一般対象)をはじめた。
 呉のヤマトミュージアムで実施。参加者140名のうち高校生は10名以下だった。
 出前授業を始めた。補講、補習などで高校のスケジュールは忙しい。
 高校からは大学の先生の講義を聴きたいという要望が多い。
 A4のコピー用紙1枚で正方形断面の四角柱を作り、ペットボトルによる過重試験を行う。
 この実習を含む授業を高校に出向いて実施している。
 船の外板の厚さは船の長さの1万分の1くらい。
 この模型作製によって、そのことが実感できる。

2011-10-01

海洋研究開発機構一般公開

 追浜の海洋研究開発機構(JAMSTEC)の一般公開があったので見学しに行った。

 見学ブースが盛りだくさんで,研究室公開や実験,体験など充実した内容だったが全部は見て回れなかった。開場と同時に軍港ツアーの船の切符を確保し,花毛布のブースへ直行した。子供向けには小ぶりのひざ掛けで花毛布の体験ができるようになっており,海洋祭を控えて参考になった。

 花毛布のとなりではロープワークの体験をしていて,こちらも人気だった。

 軍港見学船には初めて乗船した。長浦港から運河を通って横須賀港にまわり,自衛艦,補給艦,ヘリ搭載艦,潜水艦,米国海軍のイージス艦などを見ることができた。