昨日は永い1日だった。時計を8時間戻したのだから32時間を1日として過ごしたことになる。それでも久々に海外に来て気持ちが高ぶり、夜中に何度も目が覚めた。結局4時頃に起きてしまったが夜明けは7時前なのでホテルの窓から夜景を見たり地図を見たりして過ごした。
ガイデッド徒歩ツアー
事前にお願いしてあったガイドのKarin Hoeflerさんとホテルのロビーで9時に待ち合わせ。ウィーン1区を中心に3時間の徒歩およびトラムツアーのスケジュールを立ててもらっていた。ペストの塔、シュテファン寺院、ハプスブルグ王宮の中庭、スペイン乗馬学校(馬がワルツを踊る)の厩舎の横を通って英雄広場へ。
王宮や広場の建設について、左右対称、左右一対に美しさを求めたそうだ。しかし、建設にあまりにも時間がかかりすぎて、中には左右対称を果たせなかったものもあるとのこと。王宮は永い歴史の中で増築に増築を重ねていて、その度に門や玄関や広場ができていったらしい。ヨーロッパ中の王族、貴族と婚姻関係を持ち、全ヨーロッパに君臨した王家の往時が偲ばれた。
第三の男博物館
ここからトラムに2駅ほど乗ってから歩いてナッシュマルクト(市場)を通り抜け、カリンさんご夫婦が開いている「第三の男博物館」に行った。
カリンさんは日本語がとても堪能で、商談や国際会議などの通訳もなさっているそうだ。彼女のご主人が映画『第三の男』とその時代のウイーンを象徴する様々なコレクションを集めていて、ついに博物館にしてしまったとのこと。
私は40年以上昔、中学生の頃にそのテーマ音楽に憧れて楽譜を買い、ギターで練習したことがあって懐かしかった。
映画の時代背景として、オーストリア、特にウイーンの第二次大戦の戦後処理、ナチスドイツに侵略された被害国なのに、米英仏露4カ国に分割統治された歴史に関する展示物や、撮影に使われたカメラ、アントン=カラスが映画の撮影で実際に弾いたチターなど、あの映画を見たことのある人なら誰でもため息をついてしまいそうな展示物を目の当たりにした。
面白かったのは、下水道のふた。映画ではオーソンウェルズが下水道のふたのグレーチングから指を出す訳だが、このミュージアムには本物が展示してあり、その厚みは7〜8センチもあってあのように指が出るような薄い物ではない。というようなこぼれ話も聞くことができた。
カフェで休憩
3時間のツアーの後、カリンさんとお別れしてカフェセントラルに入りケーキとコーヒーで休憩した。
オペレッタ観劇
買い物をして一旦ホテルに帰り、地下鉄に乗ってフォルクスオーパに向かった。事前にインターネットで座席を予約していたので、問題なく開演1時間前に切符を受け取れた。
もともと、ウイーンに来ようと思ったのは、テレビでウィーンフィルのニューイヤーコンサートを見たことがきっかけだった。漠然と、「いつか行こう」と言っていたのだが、今回思い切って楽友協会のリハーサル、大晦日、元旦のコンサートをそれぞれ申し込んだがすべて抽選に外れた。
結果は抽選に外れて正解だった。楽友協会のコンサートには、それなりの服装でなければ入場できそうもないから。
日本を発つ前にフォルクスオーパに問い合わせたところ「Nice casual」で良いとのことだったが、そのナイスカジュアルがどうもわからない。調べると、ナイスカジュアルは一般に「穴の開いていないジーンズ、スローガンをプリントしていないTシャツなどもok」のようだった。実際、行ってみるとジーンズの人もいたので安心して入場できた。
演目はヨハンシュトラウス2世作曲の「ベネチアの一夜」。カリンさんによると、ヨハンシュトラウスの父親(1世)は浮気な人で、2世の母はそれが許せなかったので、2世に英才教育を施し、1世以上の音楽家にしようと考え、実際その通りにしたそうだ。
オペレッタは当然ながらすべてドイツ語で、舞台上部に英語の字幕がでるけれど速すぎて全部読む前に次の字幕になってしまうし、字幕ばかり見ていると舞台が見られないのでとても忙しかった。
しかし、事前にあらすじを予習しておいたので、まわりの人からはかなりタイミングがずれたけれども笑うところでは笑うことができた。30年くらい前に東京で二期会のオペラ『椿姫』を観たことがあって、それ以来ということになる。オペラもオペレッタも劇場で観るのはとても素晴らしい。貴重な経験だった。
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