東京工業大学大岡山キャンパスで2011年度第3回情報部会研究会が開催された。ちょうど工大祭(大学祭)とオープンキャンパスが行われており,入学を目指す高校生の姿も目立った。
講義 「東工大の脳型人工知能が開く近未来-これからネット・スマホ・ロボットはどうなるー 長谷川修准教授
これまでの「人工知能」はたとえばデジタルカメラの顔認識のように,何百何千ものパターンを記憶させて,それと入力データを照合させるような方法で検索と判断を行わせていた。この方法だと,ロボットは教わったことはできるが教わっていないことはできない。たとえば,コンピュータにとってイヌとネコを区別することは容易ではない。
東工大で開発された人口脳SOINNは「見て,聞いて,覚えて,考えて,行動する」ことを目指している。基礎概念を教えておいて,見たもの(カメラで写したもの)が何であるか,その概念から類推させる。たとえば,人がたくさんいる学食内をロボットを連れて歩いて学食の中を把握させる。「ここは下膳場所」と教えておくと,ロボット一人で人ごみの中を自律的に下膳場所へ行くようになる。つまり,学習したことを実際の行動の場面に転移させることができる。
ロボットは工学研究の結集だと思うが,「学習」,「転移」などの教育心理学の用語が出てきて新鮮だった。
これらの音声認識や画像認識を組み合わせた技術は,たとえば車椅子を自律的に動かす制御にも応用が期待されているという。
スーパーコンピュータTSUBAME2.0の見学
世界有数の計算速度と省電力を誇るスーパーコンピューターTSUBAMEの見学。
コンピューターの開発,製造,維持管理には莫大なお金がかかるが,それによって様々なシミュレーションが可能となり,実機による実験にかかる費用を抑えることができるだけでなく,そもそも実機での実験が行えない分野でのシミュレーションも行える。
そのスーパーコンピュータが,高校の教室1室半くらいの広さのところに納まっているのには驚いた。
研究室見学
情報系の研究室を見学した。建物のちょっとしたスペースでポスターセッションが行われており,大学院生はもちろん学部生も熱心に研究内容を来場者に説明していた。さながら「辻説法」のような雰囲気だった。「研究発表」といった肩肘の張ったものではなく,それぞれの研究室で行われている研究の紹介で,興味深く説明を聴くことができた。
学部生の9割くらいが修士課程に進学するとのこと。どの学生も「やらされ事」でなく,自分の研究として取り組んでいることがよくわかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿