2009-08-14

情報部会研究会

 教科研究会情報部会の研究会に出席するため横浜清陵総合高校へ。午前中はSqueakによるプログラミングの基礎的な教材例,午後はマイクロソフトのPublisherによるDTP基礎の教材例紹介。
(1) Squeakによるプログラムは,慶應の大岩先生が紹介しているサイトを見て独学していたが,やはり人に教えてもらうとよくわかる。C言語やBASICなどの場合には,コマンドを覚えたり,プログラムのでバッギングをしたりすることに時間を奪われて,プログラムで大切な論理構造が見えにくい授業となることが多い。また,その論理構造を図式化するためのフローチャートについても,「食わず嫌い」を生みやすい。まずSqueakでプログラムに対する敷居を感じないようにした上で,本格的なプログラムに取り掛かると効果的と思った。

(2) マイクロソフトPublisherによる校内新聞と名刺作成:
 世の中では,ワープロソフトではワードが事実上の標準のように扱われており,学校の授業でもワードによる文書作成,ポスター作成などの教材を扱うことが多い。ワードアートやクリップアートを多用した作品は,数年前なら目を惹いたが,今ではワードの諸機能を使ったことが見え見えで,とくに素晴らしいとも思わない「作品」が多いようだ。
 ワードの諸機能(ワードアートやクリップアート)が悪いわけではない。ポスターや三つ折りチラシのような,「人に見てもらって,情報を伝える」ために必要な理論的裏づけなしに,ソフトウェアの機能に依存した作品を作って満足してしまい,「人に見てもらえるか,伝えたい情報が伝わるのか」についての検討をしないことが問題なのだ。
 Publisherもソフトウェアである以上,そのような愚に陥る可能性がないわけではない。しかし,本日の研修では,ポスターやチラシを制作するうえで,「人に見てもらう,伝えたい情報を人に受け取ってもらう」という本来の目的を達成するための理屈,そしてそれを実現するためにソフトウェアの機能を利用するという視点を教えられた。
 見てもらうために,画像や図表をどのように配置するか,「見出し」の位置と大きさと書体,なぜ段組が必要なのか,字の大きさと行間や字間の関係,どうすれば見てもらえるか・・・ポスターや新聞は感性ではなく理論で作られている。必要な情報を全て書き込んでも,ベタなポスターでは誰も見てくれない。こういうところにも「合成の誤謬(ごびゅう)」という経済用語が当てはまりそうだ。
 ソフトウェアも使いようだから,「情報教育は何でもかんでもワードとエクセルとパワーポイントで完結」という状況から脱却し,伝えたい情報は何か,どのように表現するのか,どのように伝えるのかという,情報教育本来の姿を目指したい。

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